キミのおこした奇跡side S


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New York Case


Secret present


「注射もしたし、このまま寝かせていれば朝には回復していますよ」
「ありがとうございました」
「…そちらのお嬢さんの顔色もあまり良くないようだ」
「え?」
「雨に濡れたようだしあなたも温かくして早く寝なさい」
「…はい」
「明日には天気も回復するようだし、元気になったあなたたちをニューヨークは歓迎しますよ」



ドクターがあおいの顔を心配そうに見てから去っていった。


「おい」
「なに?」
「なに?じゃねぇよ。やっぱりオメーも具合悪いんじゃねぇかよ!」
「大丈夫だよ」
「どこが大丈夫なんだよ。そんな青い顔して。ほら、頭貸せ」
「え?…えっ!!?」
「…熱、は、少しある、かな?でもまぁこのくらいなら、薬飲んで寝りゃ大丈夫だろ」


額をくっつけて熱を見ると、あおいの方が少し熱い気がした。
雨に濡れて体が冷えたか…。


「顔赤くなってきたけど、マジでこれから熱上がんじゃねぇの?」
「だ、だだ大丈夫だからっ…!お風呂で温まって寝るから!」
「お?おお。俺隣の部屋だからなんかあったら呼べよ?」
「あ、ありがと。お休み、工藤くん」
「お休み、あおい」


そう言って自分の部屋に戻った。
俺も風邪引かねぇように風呂入って、明日もあるし寝るか、って時母さんが帰って来た。


「自殺!?」
「そうなのよ。新ちゃんがせーっかく通報してくれたのに、怪我してたから観念したのか警察が駆けつけた時には自殺してたんですって!」


あの通り魔が!?
そう思ったが、人殺しの考えることなんざわかるわけねぇ。


「それより母さんあおいたちの部屋行くのか?」
「え?ええ、蘭ちゃんもあおいちゃんも熱を出したみたいだから見てこようと思ってるけど…、何?」
「…俺も心配だから寝る前に見に行きてぇんだけど」


そう行って隣の部屋に行くと、あおいも蘭も静かに寝息を立てていた。


「…私今日こっちで寝た方が良さそうね。蘭ちゃんのタオル冷やしてくるわ」


そう言ってバスルームに消える母さん。
あおい、は…。


「…」


もう1度額をくっつけて熱を見る。
…さっきよりは、低い、か?
ホッとして顔を上げる。
と、目に飛び込んでくるのはあおいの顔のアップなわけで。


「…」


何を考えて、どう思ったか。
そんなんわかんねぇけど、ただ言うならば「吸い込まれるように」もう1度、顔を近づけていた。


「はーい、そこまでー」


微かに触れた。
そう感じた瞬間に真後ろから降ってきた声に体がびくぅっと反応した。


「か、母さんっ…!」
「いーっくらあおいちゃんの寝顔が可愛いからって、熱出して寝てる子の寝込みを襲うのはー、どうかと思うわよ?新ちゃん」
「別に寝込み襲ってなんかっ」
「ん…」
「っと…」


俺の声に反応したかのように小さく唸ったあおいに慌てて口を抑えた。


「べ、別に寝込み襲ってなんかいねーからな!」
「はいはい。…今日は新ちゃんの誕生日だから特別に許してあげるけど、熱出して寝てる子襲うような真似したら次は容赦しないんだからね?わかったら新ちゃんはもう自分の部屋に戻りなさい」


小声で言いなおした俺に母さんは、シッシッと手つきで部屋から追い出した。
べ、別にほんとに襲ってなんかっ…!
ただ少し、か、顔を近づけただけじゃねーかっ!!
誰に言うわけでもない言い訳を胸にもう1度シャワーを浴びなおしてからベットに入った。


「おい、まだ風邪治ってないんじゃ」


翌朝、蘭はすっかり熱が下がり、あおいの顔色も戻っていた。
気を取り直してNY観光!ってなったが、蘭がまだくしゃみをしている。


「平気平気」
「ほんとに大丈夫?」
「ちょっと熱測るからじっとしてろ」
「平気だってば!」


熱は…ねぇな。
これなら今日は問題なく観光を


「ちょっと新一!」
「あん?」
「何考えてるのよっ!!」
「…何が?」
「あおいの前でそういうことしないのっ!!」
「…そういうことって?」
「だからっ!!熱測るのに額くっつけること!!」
「…別に普通じゃねぇか。それの何が悪ぃんだよ」
「何が悪いじゃないでしょ!?そういうことはもっと気を」
「だいたいアイツ見てねぇし」
「え?」


朝起きたら普通に工藤くんおはよう、って言ってきた。
でもそれだけ。
当たり障りない会話はするけど、それだけ。
まだ壁がある。
でもまぁ…、会話するようになっただけマシだろ?
蘭が最初に言ってたように、焦らずいくしかねぇし!
話せるようになったんだからどうにかなんだろ。
…今日はあおいと知り合ってから3度目の誕生日。
プレゼントはキス。
なんて本人に言えるわけもないまま、なんとかなるだろうと楽観的な考えでNYの時間は過ぎていった。

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bkm

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