Attack On Titan


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ラブソングをキミに


悔いなき選択 6


「…もうそろそろ、時間、です、ね。」


しばらくリヴァイさんの背中にもたれるように抱きついていた私は、今が休憩時間であると言うことを思い出し、パッ、と離れた(その間リヴァイさんは、身動ぎ1つせずつきあってくれていた)
行かなきゃ、と、テーブルに置いた着替えに手を伸ばそうとした時、


「…それで?」
「はい?」
「戻ってくるのか?」


リヴァイさんが口を開いた。


「あ、い、いえ、それは、まだ…。」
「………あ゛?」


私の言葉に、今度ははっきりと怒っている顔をしたリヴァイさん。
…………これが本当に、いつも通りなリヴァイさんなわけで、なんだか安心した私がいる…。


「ち、ちょ、っと、1人、で、考えたい、こと、が、」
「なんだ?」
「え!?い、いや、なんだ、って聞かれても…。」


答えられないから「1人で考えたい」んじゃない、です、か…。
それをこうもあっさり、ほら言ってみろ、みたいな空気にされると、非常に困るわけで…。


「1人で考えても答えが出ねぇ時は出ねぇぞ。」
「そ、それは、まぁ…、そう、です、けど、」
「話なら聞いてやる。言え。」


…………それは相談を持ちかけられている人間の言うセリフではない、って、気づいてますか……?
あのですね、「言え」と言うのは命令なわけで、こう…、悩んでる人間に対して適応される言葉じゃないんじゃないか、って思うんです。
………でもそんなに自信たっぷりな態度で言われると…。


「か、」
「あ?」
「…家族、との、こと、で、ちょっと…。」


答えないわけにはいかない雰囲気なので、嘘のない範囲で、答えてみた。


「なんだ?あのバカガキ、何かやらかしたのか?」


…我が家の問題はコニーだと決めつけてません?
いや、あまり否定できないですけど…。


「コニーじゃなくて、…両親、と、ちょっと…。」


リヴァイさんは、あぁ、と短く呟いた。
…でももう、「答え」は出てしまったわけで。
ただあとはそれを、どういう風に伝えようか、って、こと…。


「俺に出来ることは?」
「え?あ、だ、大丈夫、です。ほんとに。」
「…そうか。」


そう言って、伏し目がちに床を見つめるリヴァイさん。


「…リヴァイさん、」
「なんだ?」
「……寂しかったですか?」
「……………」


リヴァイさんは私の言葉に一瞬目を見開いた後、瞳を閉じ、大きく深呼吸した。


「フィーナよ。」
「は、痛っ!!!」
「調子に乗るんじゃねぇクソがっ!」


私の傍までやってきた、と思ったらリヴァイさんは容赦なく私の額にデコピン(しかもかなり痛い)を繰り出した。


「いいか?3日だけ待ってやる。その間に戻らねぇならテメェの荷物全部捨てる。そのつもりでいろ。」


私をギロリ、と睨みながらそう言い放つと、バタン、と音を立てて部屋から出ていった。
……………あの人、何しに戻ってきたんだろうか…。
ヒリヒリと痛む額を摩りながら、私も部屋を出た。




「おい、エルド。」
「はい兵長。なんですか?」
「今何してる?」
「あ、今は基礎訓練の、」
「ダメだ、俺が見てやる。最初からやり直すぞ。アイツら連れてこい。」
「(やっと直った!?)は、はい!!でも何するんですか?何か用意が必要なら、」
「掃除だ。」
「…………え、」
「全然なってない。全てやり直すぞ。」
「(そこから!?)」




「ナナバさん、」
「んー?なにー?」
「…明日、部屋に戻ろうかと思います。」
「………そっか。」


あれから丸1日経って、ようやくナナバさんに切り出すことが出来た。
私の言葉を聞いて軽く目を閉じたナナバさんはそれ以上、深くは聞いてこなかった。
ただ、またいつでも飛び出してきていいよ、って、笑いながら言ってくれた。
…パパとママには、直接会うと、上手く言う自信がなかったから、手紙を書いた。
調査兵団は辞めないこと。
お見合いはしないこと。
だから、村には帰らないという事を、書いた。
そしてママ宛にその手紙とは別に、もう1枚、手紙を書いた。
兵士としても、…1人の人間としても、傍にいたいと思う人がいるから、例え次の遠征で命を落としたとしても、私は決して後悔しないと言うことを記した。
この手紙を読んだママがどう思ったのかはわからない…。
私自身、この選択が間違いだとは思わない。
だけど………。


−人類のためじゃなく、お前のため、…母さんのためにも、帰ってきてくれないか?−


この時のこの選択が、本当に「正しいもの」だったのかは、誰にもわからなかった。

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