Attack On Titan


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ラブソングをキミに


平穏の終わり 1


「何してる?行くぞ。」
「はい。」


リヴァイさんに促されテントに戻ると、ハンジさんがいつもと変わらない笑顔で迎えてくれた。


「やぁ、フィーナ。キミも温かいコーヒーを飲むかい?」


何も変わらない。
生きている分、亡くなった人のためにも、必死に「今」を生きるだけ。


「いえ…、コーヒー飲めないんで…。」
「そうなの!?美味しいのに!」
「…眠れなくなっちゃうんです、コーヒー飲むと…。」
「フィーナは可愛いなぁ!今度はホットミルクでも用意しておくよ。」


そう言って笑うハンジさん。
可愛いというか、子供なだけなんです、と、心の中で苦笑いしてその日は眠りについた。




「(…フィーナが握り締めて寝てるアレ、リヴァイのスカーフ、だよね?どういういきさつで借りたのか知らないけど)楽しいことになりそうだなぁ!」




そんなハンジさんの独り言をうっすら聞きながら、久しぶりに深い眠りにつけた気がした。
翌朝、


「本日は昨日に引き続き、」


キース団長の号令の下、今日の調査内容が全兵士に通達された。
今から15分後に調査が開始、と言うことで全兵士慌ててその準備に取り掛かる。
私も、と準備に取り掛かろうとしたら、


「フィーナ。」


リヴァイさんに呼び止められた。


「はい?」
「…お前、首はもういいのか?」


昨日、思わず涙を拭ってしまったスカーフを、何事もなかったように使用することはさすがに憚られて、今朝起きてすぐに手洗いをした。


「朝、洗濯して干してるところ、なん、で、」
「………」


だからせっかく貰った(と言うか返却を拒否られた)スカーフを今日はしていないわけで。
昨日と変わらない私の首下を見た後、目を逸らしながらリヴァイさんはため息を吐いた。


「手出せ。」
「え?」
「早く。」
「あ、は、はい?」


リヴァイさんの言葉の意味がわからなかったけど、とりあえず両手を出したら、リヴァイさんはシュルッ、と自分のスカーフを解いて私の手の上に乗せてきた。


「今日はそれをしてろ。」
「…え?で、でもそんな2枚も貰えません。」
「誰がくれてやると言った?」
「え…?」
「汚すな、無くすな。それは必ず俺に返せ、いいな?」


そう言うだけ言って、リヴァイさんは去っていった。
…………………なら貸してもらわなくてもいいんですが、なんて、言えない…。
だって壁外調査でこんな白い、しかもひらひらしてるスカーフ「汚すな」って方が無理じゃない?
でもだからって「それをしてろ」って言われた以上は、してないとまた何言われる(もしくはどんな罰が待ってる)かわかないし…。


「あれ?フィーナ…。」
「はい?」


私がぐるぐると考えていたら、ハンジさんが声をかけてきた。


「…それリヴァイのスカーフだよね?今朝洗ってなかった?」
「あ、はい…。いただいた物は手洗いして、これは今借りたものです。」
「…貰ったの?リヴァイのスカーフ?」
「はい。」
「…ふぅん…。」


ハンジさんはまじまじと私の首に巻かれているスカーフを見た後で準備に戻った。




「リーヴァイ!」
「来るなうぜぇ。」
「なんだよ、その態度!酷いんじゃない!?」
「…お前が言いそうなことはわかってんだクソメガネ。」
「あ、ほんと?じゃあオブラートに包まなくてもいいよね?なんでスカーフあげたの?」
「………」
「フィーナ昨日、あれ握り締めて寝たんだよ?」
「…………」
「あんなの見たらリヴァイがどういうつもりであげたのか気になるじゃないか!フィーナの『保護者』の1人として!」
「……………」
「なんで?どうしてあげたんだい?ねぇリヴァイ聞いて」
「うるせぇっ!!!」

パリーン

「私のメガネがっ!!」
「いいかクソメガネ。今後2度とその話を俺に振るな。わかったな?」
「…くっ!これくらいならテープで止めてやる…!!」




「ど、どうしたんですか?」
「ちょっと興奮しすぎちゃってね!」


出発直前、ハンジさんのメガネの右のレンズが負傷者用のテープで止められているのに気がついた。
あは!って笑うハンジさん。
…そのメガネで今日の調査に行く気なんだろうか…。
見えるから大丈夫だよ!なんて陽気に言うハンジさんの声の直後、キース団長の合図で今日の調査が開始された。

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bkm

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