ラブソングをキミに


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3つのうちの1つ


3


「ラ♭って…、足音の音程でわかったってこと?」


そう私に声をかけてきたのは、メガネの女の人。
それにコクリ、と、首を縦に振った。
…私が人とコミュニケーションを取るのが苦手な1番の理由。
それは私の「絶対音感」と言うものにあった。
人の話し声が、大小さまざまな声が、いつしか騒音にしか、聞こえなくなったからだった。


「じゃあさ、じゃあさ!」


メガネの女の人は、突然顔を紅潮させて、身を乗り出して聞いてきた。


「私やリヴァイの足音なんかも聞き分けられるのかい!?」
「…た、ぶん?」
「ほんとにー!?やってみていい!?いいよね!?やるよ!?はい、後ろ向いて目瞑って!!」


お姉さんの勢いに圧倒されて、言われるがまま後ろを向いて目を瞑った。


「いくよ?」


トン


「コニーの足音?」
「…じゃあ今度はこれ!」


コン


「…お姉さんの足音?」
「じゃあ次!」


その時、扉が開いた音が微かに聞こえた。


ドン


「…リヴァイ、さん?」
「じゃあ、最後!」


カツン


「…」
「今のはだーれだ?」
「…今、」
「うん?」
「今、部屋に、誰か入ってきました、よ、ね?その、人?」
「…ほぅ…。」


私が答えると、聞きなれない声が響いた。


「すごい!!全問正解っ!!会ったことないエルヴィンの音まで聞き分けちゃうんだねっ!!」
「これはなんの遊びだ?」


お姉さんの声に、振り返ると、今部屋に入ってきたらしいエルヴィンと呼ばれた人は、私を見ながら聞いてきた。


「エルヴィン!このコおもしろいよ!!足音で誰が来るかわかるんだって!!ミケタイプだよ、このコ!!!」
「耳が良いのか…。あぁ、『だから』物が飛んでくる方角がわかったのか?」
「そうなのっ!!?」


エルヴィンさんは顎に手をやりながら、聞いてきた。
その言葉に、お姉さんがさっき以上に興奮した様子で私の肩を掴んできた。


「あ、う、や、」
「姉ちゃん!!」


お姉さんの勢いに、あわわとなっていた私をコニーが助けてくれた。


「ねぇねぇ!それって人間だけしかわからないのかい!?」
「え?」


お姉さんから解放された…、と、言うのは体だけで、実際何も解放されたわけじゃなかったらしい。


「ハンジ。何を考えてる?」
「たぶんリヴァイと同じことじゃないかなー?」


ハンジ、と呼ばれたお姉さんは、リヴァイさんを見ながらにやっと笑っていた。


「えぇーっと、キミ名前、」
「フィーナ、です…。」
「そう!フィーナだ!コニーが教えてくれたよね!」


ハンジさんはコニーに向けて笑いかけた。


「その力、人間以外はわからないのかい?」


その直後、私を見たハンジさんは、口元は笑っていたけど、目は真剣そのものだった。


「え、えぇー、っと、」
「回りくどいぞ、ハンジ。」


私が困っていると、リヴァイさんが再び口を開いた。


「フィーナ。お前のその耳は、『なんでも聞き分けられる』のか?巨人の音すらも。」


その声は、さっきまでの怒っている音程とは、違うのはわかる。
だけどどこか、疑うような音色をしていた…。

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bkm

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