Detective Conan


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catch me if you can


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「今日の告知ゲストはマジック界のサラブレッド、黒衣の魔法使いカイト・クロバだ!」
「こんにちは、皆さん」


見れないかもしれないと言いながらも、スタートからスマホの前に齧りついていた私を客観的に見ると「マジシャン黒羽快斗」のファンに見えるのではないだろうか。
もちろん快斗さんのマジックはすごいと思うし、見ていて飽きない。
でもファンかどうかと聞かれたら返答に困る。
私はファンとしてではなく、彼の友人として、彼の活躍を見守っているのだと思う。
=ファンではないというわけではないものの、ファンとは確かな一線を引いている快斗さんを見ているからか、誰に言うわけでもない言い訳が私の頭の片隅に居ついている。


「それにしてもカイトは日本はもちろん、ここアメリカでもすごい人気だよね」
「嬉しいですねー」


アメリカの番組なのだから当たり前だけど、快斗さんは随分と流暢に英語を話す。
日本人特有の発音もなく、現地の人間とのコミュニケーションも良好に見えるから英語力は相当なものなのだろう。


「番組が終わったらぜひ個人的にカイトとディナーに行きたいわ!」


快斗さんが出る番組の司会者の1人だろうか。
配信に出ている女性が快斗さんをデートに誘った。


「おっと、カイトが困ってるね。もしかして恋人いるの?」


もう1人の司会者と思われる男性が快斗さんにそう聞いた。


「好きな人はいますよ」


笑顔でそう言った快斗さんに、コメント欄が恐ろしいほどの勢いで流れ始めた。


「ほんとに!?それここで言っても大丈夫!?」
「大丈夫だと思います。そもそも僕の片想いで今必死に口説いてる最中なんで」
「私ならすぐにイエスって言うわよ」
「ははっ!ありがとうございます。彼女もいつかそう言ってくれたらいいんだけど」
「これ見てるかな?」
「あー…どうでしょう。見てくれてると嬉しいですね」


にっこりと音が出そうな笑顔をカメラに向ける快斗さんに、日本語と英語のコメントが混ざり合って勢いよく画面に流れていた。
…開いた口が塞がらない。
快斗さんはこういう人だって、元々知ってはいたけど、これはちょっとどうなんだろうか。
快斗さんの事務所の方針はわからないけど、ショーに行った身としては彼は色恋営業と呼ばれるような商法をしている人なんだろうと思っていた。
それがまさか、全世界に配信してる場所でこんなことを言うなんて。


「それでは、本日の告知ゲストはカイト・クロバでした!」
「皆さん、本番もお楽しみに!」


司会者2人と快斗さんが手を振って、その配信は終わった。
胸が鳴っているのが自分でもわかる。
驚きからなのか、それとも嬉しいからなのか…。
そのどちらとも言えないような感情に包まれていた時、


見てくれた?


とメッセージがきた。
どう返そうか一瞬考えた後で


炎上しても知りませんよ


とだけ送った。
その直後、


七海ちゃんのこと、こそこそ隠してたくなかったから。嫌だったらごめんな


と文字が見えた。
嫌だった?
…それどころか私は…。
だけど奥深くに閉じ込めたはずの疑惑が脳裏を過ぎった。
踏み込んでは、いけないのかもしれない。
踏み込まない方がいいのかもしれない。
それは警官として?それとも女として?
わからない。
どちらの私がそう囁いているのかわからない。
でも、友人としてなら、いいのではないか?
友人としてなら…。
快斗さんが送ってくれた言葉には、親指を立ててグッ!と描かれているスタンプ1つで返すだけにした。

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bkm

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