Detective Conan


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24


「七海ちゃん、寝不足?」


怪盗キッドに眠らされたあの日。
キッドには事前にバレたら退職と言っていたためなのか、私は博物館内の物置として使われている部屋の隅に寝かされていた。
だけど別に身包み剥がされたわけでもなくただ眠らされていただけだったけど、不審がられることもなく、佐藤さんは空手の達人だったから邪魔だったのかな?という鈴村さんの言葉通り特にお咎めなしになった。


「寝不足というか…」
「うん?」


そして事件から2日後、あまりにも体調が悪すぎる私は早退させてもらい病院に向かった。
その帰りにばったり快斗さんに出会したのだった。
『実は先日、睡眠薬か何かを嗅がされたんですがそれが私の身体に合わない物だったようでそこから異常なダルさが抜けきれていないんです。』
なんて話せるわけもないから、


「一昨日の薬が合わなかったみたいでちょっと…」


とかなり濁して伝えた。
ちなみに昨日は急遽お休みをもらってほぼ一日寝込んでいた。


「一昨日、って、俺の誕生日?」
「えっ?あ、あぁ、そう、ですね」
「何?どこか具合悪かったの?」
「具合が悪かったわけじゃないんですが…」
「え?でも薬飲んだってどこか悪かったんじゃないの?」
「えっ、いや、なんというか…不慮の事故で飲んだというか…」
「…」


これ以上ツッコミ入ると逃げ切れるかな、という私の思いが伝わったのか、


「とりあえずすぐ家に行った方がいいな。送るよ」


快斗さんはそこで話しを切り上げてくれた。
大丈夫です、とお断りを入れたけど、心配だからと押し切られ快斗さんに送ってもらうことにした。


「快斗さんはどうしてこっちに?」


家までの道を歩きながら、快斗さんに尋ねてみた。


「あー、今度杯戸でイベントするって話出てるからどんなとこかと下見に来たんだ」


快斗さんとばったり会ったところからうちまでは、タクシーを使うほどの距離でもなく、ほんの5分10分と言ったところ。
その道のりをいつもより時間をかけて歩いている。
そんな歩調で快斗さんは隣を歩いてくれた。


「忙しそうですね」
「ん?んー…まぁありがたいことだよね」


快斗さんは会話の引き出しが豊富だ。
いつもいろんな話題で楽しませてくれる。
でも今日は、具合の悪い私に気を遣ってか、いつになく口数が少なかった。


「うちここです」


自宅マンション(と言っても5階建てのどこにでもあるような共同住宅だけど)前に着いたので、指を差しながら言った。


「セキュリティしっかりしてんね」
「ひとり暮らしする時の最低限の条件でしたから」
「なるほど」
「寄って行きますか?」


この時の私は特に深く考えていなかった。
ただ、心配だという理由で付き添ってくれた快斗さんを、マンションの入り口前で帰すのは忍びなく感じていた。


「んーん。今日はいいや」


ゆっくり休んでと言う快斗さんに感謝を込めて頭を下げた。


「七海ちゃん!」


マンションの中に入ろうとした時、快斗さんから声をかけられた。


「水、いっぱい飲んで」
「はい?」
「体内に入った薬が早く外に出るように」
「ああ…」


効くかどうかわからないけどと、快斗さんはどこか困ったように笑っていた。
…言われてみると、一昨日薬を嗅がされて目覚めてから、あまり水分補給をしていない気がする。
なるほど、体内に入った薬を排尿することで押し出せるかもしれないのか。


「はい、いっぱい飲みますね」
「おう。元気になったらまた一緒に出かけようぜ」
「ぜひ」


そう言った私に早く中に行けとでも言うように、快斗さんは手のひらをひらひらと振った。
それを見て、もう一度頭を下げてからマンション内に入った。

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bkm

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