Detective Conan


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catch me if you can


19


七海ちゃんの次の非番にメシ食い行こうぜ


あれから快斗さんとは頻繁に連絡をするようになった。
と、言うか、快斗さんが思った以上にマメに連絡をくれるからそれに合わせていたら、気がつけば毎日のように連絡していて、短期間でかなり距離が縮まっていた。


直近では明後日非番です

なら明後日ね 行きたいとこある?


快斗さんはマジシャンだからやっぱり週末の方が忙しいようで、会うためには平日の方が都合がつきやすいようだった。


「お待たせしました」
「ぜーんぜん待ってないよ」


あの夜からまだ数えるほどでしかないけど、何度目かの2人での外出。
慣れたような、慣れていないような、不思議な感じだった。


「これ、少し早いですが、」
「うん?なになに?」
「誕生日プレゼントです」


快斗さんはそれなりに有名人だから、いちいち本人に聞かなくとも、テレビでバースデーショーをやると告知していた。


「まじで!?すっげー嬉しい!」


あの夜だけでなく、快斗さんと出かけるとご飯を奢ってくれたりタクシー代を出してくれたりされる身としては誕生日とわかった以上、何もやらないという選択肢はなかった。


「え、てか、結構デカいけどなにこ、れ…」
「快斗さんこの前ひざ枕されたいって言ってたんで、ひざ枕型のクッションです」


この時の私はまだ、恋とも言えない…あくまで毎日連絡を取る仲の良い異性の友達として快斗さんを見ていたわけで。
そんな人に下手に時計や財布なんか贈っておかしな流れになっても困ると思いここはおもしろグッズに走ろうと、たまたま見つけた女性の足の形をしているクッションを贈ることにした。


「なんでっ!?そこは私がしましょうか、になるんじゃねーの!?」
「なりません」


快斗さんはわかりやすく、心底がっかりしたような顔をした。


「…ちぇー、でも、うん、ありがとな」


どこか釈然としないようで、口を尖らせながらそう言った。
…快斗さんと過ごすようになってわかったことがある。
彼は意外と子どもだ。
私よりも歳が上のはずだけど、こういうところはむしろ年下のようにすら感じる。


「一応、口コミの良い物にしたんですよ」
「…わーい、このクッションに七海って名づけて今日さっそくひざ枕してもらうわー」
「ふふっ!そうしてください」


快斗さんはあの日私の顔がどストライクと言っただけあり、私の笑顔が何より好きなように思う。
実際はそんなことまで言われていないけど、私が笑うたびに向けられる彼の目がそう物語っているように感じた。
それは自惚れかもしれない。
でも彼から向けられるこの視線が、とても心地良く感じていた。


「来る?当日のショー!」


チケットあげるよ、と快斗さんは言ってくれたけど、


「あー…その日はちょっと仕事で、」


どうしても外せない仕事があり、断りを入れた。
そもそも私のいる捜査二課は企業犯罪を扱う課であり、その日はいわゆるガサ入れというのが予定されている。
もちろんそれは家族含めて誰にも言うことが出来ない極秘中の極秘。
なので濁して言うしかなかったのだけど、


「まー、仕事なら仕方ねーよな」


快斗さんは深く聞かずに引き下がってくれた。
彼のこういう気の遣い方に、すごく助けられているのも事実だ。
すまません、と改めて謝罪したら、気にするなと言うかのように、手をひらひらとさせていた。
その翌日、


「キッドから予告状がきたぞ!!」


私が捜査二課に配属されてから何度目かの怪盗1412号ー怪盗キッドからの予告状が出された。


「…この日、って、」
「そう、今ちょっとどうするのか調整中だから」


キッドの予告状のコピーが全員に渡された。
それを見たら


ゼウスとレダの愛し子たちが役目を終える時
月が顔を隠す前にドラゴンストーンを頂きにあがります


と書かれていた。
ゼウスとレダの愛し子たちというのは、神話で2人の間にに生まれた双子、つまり双子座のことを指す。
その双子座の役目が終わるということは、蟹座に変わろうとする直前の夜、キッドが現れるということ。
双子座から蟹座に変わる日は、ガサ入れ当日、快斗さんの誕生日だった。


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bkm

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