Detective Conan


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stock-永遠の恋-


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「お疲れさま、名探偵」
「あ、来てたんですね」


苗字名前24才。
大学卒業後無事出版社に入社。
専ら地方情報紙の記事を任されていた。
そんな私が1年前、初めて1人で任された取材の相手。
当時にわかに注目を集めていた高校生探偵・工藤新一。
初めての取材はそりゃー最悪だった。
ちょっと注目を浴びたガキが生意気にまぁまぁ。
取材相手は持ち上げてナンボだけど、堪らず物申した。


「あんたそうやって天狗になってるとその鼻いつかヘシ折られて、あんたの周りで涙した奴の怨念からあり得ないくらい痛い目見るわよ?」


その数週間後、工藤新一は姿を消した。
ああ、きっとあり得ないくらい痛い目みたのね。
とその時の私はさして問題にしなかった。
それから数ヶ月後、再び紙面に工藤新一の名前が踊った。
なんでも国際的な犯罪組織を壊滅に追いやったんだとか。
いつの時代も「華々しい人間」というのは存在するもので。
彼がそうなんじゃないかと思った瞬間だった。


「苗字名前さん」


私は彼を取材する数多いる記者、編集者の1人だろうに。
この高校生探偵はしっかり覚えていやがった。


「あなたが言った通りになりましたよ」
「え?」
「…あり得ないくらい痛い目みました」


そう言って自嘲気味に笑う工藤新一は、歳の割りに大人びた表情をしていた。
修羅場っていうの?
そういうのを経験した人間の表情に見えた。
職業柄か、その顔にほだされたのか。
私は、一体どんな「あり得ない痛い目」をしたのか興味が沸きうっかり呼び止めてしまった。


「じゃあまぁ要するに?」
「はい」
「出稼ぎに行ってる間に幼馴染みの彼女に他に男ができて痛い目みたわけ?」
「はい…」


いやはや、なんつーか


「平和だねぇ…」
「…えっ!?」


好きな子に他に好きな人ができた。
それがあり得ないくらい痛い目なんて。
世界の中心が好きな相手だった、若さゆえの思い。


「平和って…。俺の話聞いてました?」
「聞いてた聞いてた。フラれたんでしょ?幼馴染みの彼女に」
「…相変わらずはっきり言いますね」
「あ、オブラートに包んでほしかったら言って?気をつけるから。」
「…今さらいいです」
「だよね」
「…」


若干工藤新一のコメカミがひくついたのがわかった。


「名前さんて」
「なに?」
「人好きになったことあります?」
「あるある。キスもセックスも人並みにあるよ」
「そっ!…そういうことは女性はあまり口に出さない方がですね」
「はぁ?小学生のガキじゃあるまいし、今さらキスもセックスも恥ずかしがる言葉じゃないでしょ」
「だ、だからっ!」
「…キミさぁ」
「なんです?」
「…もしかして童貞?」
「んなっ!?」
「…ごめんね、工藤くん」
「な、なんです?」
「キミのこと誤解してた」
「え?」
「童貞のキミを少し好きになったよ」
「童貞童貞言うんじゃねーよ!!」


これが私たちの始まり。
ここから生意気で紳士気取りなお坊っちゃんとの長い物語が始まる。

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