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70万打企画


wedding night


side H
快斗くんと、快斗くんのお母さんとの3人暮らしをして数日。


「行っちゃったね」
「よーやく静かになるな!」


快斗くんのお母さんはアメリカのお家に帰っていった。
………………と、言うことはですよ。
今日から快斗くんと本当に2人きり、というわけで。
自分から言うのもなんだけど…、「あのこと」言ってみようかな…。
なんて思いながら、黒羽邸へ向かった。


side K
名前ちゃんとまた暮らすようになったものの…。
おふくろの手前もあったし、部屋は別々にしていた。
ここに残る=そういうことなのかもしれないが、今さら「あの時」のように無理矢理どうこうする気にはならねぇし、例え部屋が別々でも同じ家で暮らしていることには変わりねぇし?
なんて思っていた矢先、


「え?なに?」
「だっ、だから、ねっ…」
「うん?」
「…か、快斗くんと同じ部屋がいい、なぁ、なんて、」


名前ちゃんからまさかの言葉が降ってきた。


「い、嫌なら別にいいんだけどねっ!」
「え?あ、いや、嫌なんかじゃ、」
「ほんと!?」


パァ、と表情を明るくさせて言う名前ちゃん。
俺の部屋がいい=そういうことなわけで。
…まぁ、おふくろも出て行ったし、な…。


「荷物とかは追々移すとして、とりあえず今日からこっちで寝るか?」
「うん!」


躊躇わず頷く名前ちゃんに何故か苦笑いが出た。


side H
お母さんもいなくなって2人きりで。
その上今日から快斗くんのお部屋で一緒に、なんてもうっ!
…でも待って!そう考えると今日は2人にとってはじまりの大切な日になるんじゃなぁい?
そりゃあ、ここに来た経緯が経緯だから、快斗くんと初めて、ってわけじゃないけど、なんて言うかお互いの気持ちを確認した上で、って初めてなわけで。
そんな2人の初めての夜ってつまり初夜!?
ど、どどどどどどどどうしよう!
この広い家で1人は嫌だなぁ、ってことでそんな大切な初夜になるだなんてそんなそんなちっとも考えずに快斗くんの部屋がいい、なんて言っちゃったけど何ソレ私もしかして自分から今日初夜にしましょう、って口走ったってこと!?ぎゃーっ!!


「て、聞いてる?名前ちゃん」
「えっ!!?な、なななななななななにっ!!!?」
「え?…だから先に風呂どーぞ、って。俺その間に少し片付けておくからさ」


じゃ、部屋行ってるからあがったら教えて、って言って自室に消えていった快斗くん。
お言葉に甘えてお先にお風呂をいただいたけど。
なんとなく。
本当になんとなく。
いつもよりも倍以上に自分を磨きあげた(いやむしろ擦りあげたが近いかも)


side K
一緒の部屋(というか一緒のベッド)で寝るって言っても、過去の自分を振り返り、本当に寝るだけで終わりそうなところがあるのは否めない。
いや…。
己の過ちを十分すぎるほど理解しているからこそ、名前ちゃんの下心ないであろう誘いに自分から下心を出すわけにはいかない。
…そもそも使い物にならなかったら洒落になんねーし。
なんて思いながらとりあえず、と、部屋(主にベッド周辺)を片付けていたら、


「お、お先にお風呂いただきました…!」


湯上りで少し赤い顔した名前ちゃんが部屋に入ってきた。


「おぅ、じゃあ俺も風呂入ってくるからテキトーに好きなことしてていいぜ?」


そう言って入れ違いになる形で部屋を出た。


side H
そんな好きなことしてて、とか言われても何をしたらいいのか…!
だってそんなそんなそもそも私はどこにいればいいのかも若干テンパり気味なのに!
ソファに優雅に座っていればいいの?
それともそんな初夜なんて興味ないわよオーラでパソコンでもしてればいいの?
まさかまさかベッドですでにスタンバイ…!!?
うわぁぁぁぁぁぁぁ!!って感じにぐるぐるぐるぐる考えた私は、


「ふぅ、あっちー…。名前ちゃーん、なんかの!?………な、何してるの?」


身の置き場がなく、ベッドの上(さらに言うなら掛け布団の上)で正座して待っていることにした。


side K
風呂入ってさっぱりしたことで、今日から本当に2人きりだし?乾杯の意味も込めて名前ちゃんに何か飲むかと聞こうとした。
ら、


ガタン!


「な、何してるの?」
「…………」


まさかの正座待機(しかもベッドの上)の名前ちゃんに体がビクッ!となった(思わずドアに体ぶつけちまった…!)


「…」
「…」
「…」
「…えぇーっと、」
「そっ、」
「うん?」
「そこにっ、す、すすすすす座ってくださいっ!!」


正座待機のまま俯いている名前ちゃんにどうしようかと思ったら、自分の目の前を指さしながら座るように言われた。


「…ここに?」
「すっ!座ってくださいっ…!!」
「あ、うん…」


念のため聞きなおしたけどやっぱり座れって言われたから、座ることにした(もちろんベッドの上で正座)


「…」
「…」
「…」
「…で?どうしたの?」


俺が座ったらさらに俯いて黙った名前ちゃんに辛抱堪らず、問いかけた。


「っ、」
「え?なに?」
「…っ…」
「だからどうし」
「ふっ!!!」
「え?ふ?」
「ふっ、不束者ですがっ!よろしくお願いしますっ!!!」


ガバッ!!と目の前で深々と土下座する名前ちゃんに、何が起こったのか理解できなかった。
…えーっと、この挨拶ってのはようするにアレなわけで。


「あ、はい…、こちらこそよろしくお願いします…?」


そこの結論に達するまで時間がかかった俺は、何故か疑問系でベッドの上で土下座していた。

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bkm

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