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20万打企画


続・中道先生の性春講座


始まりは何気ない一言。


「中道って、よくフルーツ食ってるよな。好きなのか?」


相沢、中道とはほぼ毎日一緒に昼飯食ってるが、ほぼ毎日フルーツを食ってる中道を目撃してる気がする。


「好きか嫌いかじゃなく、俺の地味な努力」
「は?」


昨日はミカンを頬張ってた中道。
今日はチェリー。
それが地味な努力?


「意味わかんねぇし」
「え?」


俺の言葉に中道が声を裏返した。


「え、工藤知らねぇの?」
「何を?」
「…いやでも工藤ってこの分野の知識なさそうだもんな」
「だから何の話だ?」


突然ニヤニヤしはじめた中道。
…コイツとのつきあいもかなり長いからわかる。
コイツがこういう顔をする時は大抵、


「食ってるもので味が変わるらしいぜ?精液の!」


下ネタになる。


「…それが?」
「それが、ってお前興味ねぇの?」
「興味があるかないかの問題か?」
「だって飲んでもらいてぇだろ!?」


まぁ…。
中道のその言い分はわからなくもない。


「あ、でも名前ちゃんなら飲んでくれそうか…」
「いや、」


アイツはそれだけはほんとに無理、って口走りそうになったのが間違いだった。


「なになに?飲んでもらえねぇの?」
「…オメーその顔犯罪だ、ヤメロ」


ニヤニヤ、いや、ニタニタといやらしそうに笑う中道。
…くそっ、今日相沢いねぇから俺1人餌食じゃねぇか…!


「なぁなぁ、どうなんだよ?」
「うるせぇな!どうでもいいだろ!?」
「あ、逆ギレ?さては図星か工藤」


フン、と中道から顔を逸らした。
つきあってられるか!


「…俺が聞いたところによるとー、」


俺が返事をせずにいると、中道が一方的に話してきた。


「肉ばっか食ってる奴は濃くてドロドロらしいぞ」


返事はしない。
…が、聴覚が反応するのは仕方ない。


「酒、タバコは苦味を出すだけ」
「…」
「でもフルーツはさらさらで甘味を出すらしい」


一瞬ピクッと体が反応した。


「フルーツのみの生活をすれば、1週間後にはもう甘くなってるって」


…いや、いくらなんでもフルーツのみは無理だろ。


「でも実際問題、1週間フルーツのみなんて無理だろ?」
「…まぁそうだな」
「だろ?だからー、毎日少しずつでも食ってフルーティな精液にさせよう、っていう俺の地味な努力!」


なんだよ、フルーティな精液って…。


「ま、嘘かほんとかはわかんねぇけど」
「…」
「でもくっそマズイもん無理矢理飲ませるより、飲んでもらいてぇならそれなりの努力ってーのは必要な気はするだろ?」
「…まぁ、なぁ…」
「だろだろ?だから俺は毎日フルーツを食ってる、と。ま、体にも良さそうだしな」


なんて言いながら、口にチェリーを投げ込む中道。
フルーツを食べると甘く、ねぇ…。
でも確かに前に名前が、飲み込めねぇのはすげぇ苦いからだって言ってたよな…。
そして人づての話だけに留まらず、裏づけをしたい性分の俺は、午後の授業中こっそりとスマホで調べていた。


〜精液を甘くする方法〜
・乳製品や発酵食品等を良く食べる人は甘くなる
・年齢、体質や体調により変わり、特に疲れているときが甘くなる
・こまめに手淫等で処理していても薄さが変わるだけで味には変化がない
・不規則な生活、煙草は苦くなる
・糖尿病との因果関係はないが、甘いものを摂っていれば甘い
・フルーツ、特にメロン、パイン、イチゴなどは甘みを強める


へぇー…。
乳製品でも…。
発酵食品て納豆とかか?
不規則な生活…、は、まぁ…、事件で呼び出されたら普通に明け方寝ることになる日もあるし、そもそも寝ない日もあるしなぁ…。
うーん、と悩んでいたら授業終了のチャイムが鳴った。


「今日の授業はここまで。工藤は明日までに教科書の58ページから60ページまでやっておくように」
「へ!?俺?なんで!?」
「お前、俺の授業中に随分と興味深い調べ物をしてたじゃないか」


やべっ!バレてたっ!!
いつの間に見られてたのかわかんねぇけど、「調べ物」の内容まで知ってた先生。
若干(若干か?)赤くなった顔で謝罪した。


「まぁお前の頭ならこの程度の問題、時間かからずできるだろうし『不規則な生活』にはならんだろう」


めちゃくちゃ良く見てんじゃねーか、コイツ!!
くそーっ!と思いながらその日の授業は終わった。


「授業中何調べてたの?」


放課後じゃあ帰るぞ、ってなった時、案の定名前がさっきの出来事を聞いてきた。


「ちょっとな」
「この間の事件で気になることでもあったの?」
「…まぁそんなとこ」
「ふぅん…。大変だね、高校生探偵も」


………………言えるわけがねぇ。
オメーに飲んでもらおうと数学の授業中どうやったら甘くなるか調べてたなんて…!!
そんなんバレた日には俺ただのムッツリな男に成り下がるじゃねぇかっ!!


「あ、帰りスーパー寄って良い?」
「おー」
「今日何食べたい?」


−毎日少しずつでも食ってフルーティな精液にさせよう、っていう俺の地味な努力!−
−フルーツ、特にメロン、パイン、イチゴなどは甘みを強める−


「メ、」
「うん?」
「メロン」
「え?メロン?…うん、まぁ…買ってく?」


別にだからどうするってわけでもないが、この日を境に極力甘い物も口にするようになった。

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