キミのおこした奇跡


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traveltrouble


キスは挨拶


「○◇☆%#〜」
「◇△$†※〜」


たぶんパーティはお開きになるんだと思う。
みんな玄関のところまでお見送りしてるんだけど。
別れの言葉を発しているんだろうけど、何喋ってんのかわかりませぇん…。


「え?」
「…○◇#%!」


さっき私に話しかけてきて、励まして去って行ったアメリカンが去り際私の腕を引っ張った。
と思ったらほっぺにちゅうしてきた!


「き、ききききき」
「◇○△?」
「キスしたーーー!!この人私にキスしたーー!!」


ちゅって!
ほっぺにちゅ!って!
信じられないっ!!


「でもねあおいちゃん、ここだとキスは挨拶だから…」
「そんな挨拶嫌ですーー!!!」


ちゅうは!
ちゅうはいつか黒羽くんとってっ!!!


「別に口にしたわけじゃねーんだろ?いちいち騒ぐんじゃねーよ」
「信じられない!!乙女のほっぺにちゅうしておいてその言い草は何っ!?」
「俺がしたんじゃねーだろーがっ!!!」


デリカシーのかけらもないにゃんこはダメだ!!
優作さんっ!!!


「先にやられてしまったが、こういう挨拶もあるということを知っておくのも悪くないと思うがね」


ちゅ、って。
さっき右のほっぺをちゅうされて、手で押さえていたら、今度は左のほっぺにちゅ、って。
優作さんがちゅ、って。


「もう!あおいちゃんてばほっぺにキスくらいで真っ赤になって可愛いんだから!」


ちゅうしたのあなたのご主人ですよっ!!
もう!もうっ!
みんなおかしい!!
日本の挨拶は45度の会釈ってきまってるのにっ!!
泣きそうになってるところで工藤くんと目が合った。


「く、工藤くんは近寄らないでっ!!工藤くんにまで襲われたら私っ!!」
「近寄んねぇし、襲う気も起きねーから安心しろっ!」


すっごいバカを見るような目で見られた気がした。
ああ、私の初ほっぺちゅうがっ!!


「ま、まぁまぁ、ほっぺにキスなんてこっちじゃよくあることよ?」


よくあってたまるかっ!
私住まない!
絶対アメリカに住まない!!
なんで好きでもない人からほっぺにちゅう!?
あ、でも優作さんからはびっくりしたけど、優作さんだしいいかなぁ、って思ったから不思議。


「キスは挨拶。海外行ったらそれくらいフツーだろ?」
「…工藤くんがそんな汚らわしい人だったなんてっ!!」
「なんの話だ!?」
「いひゃいいひゃいいひゃい!」
「だいたいなぁ、オメーなんかにキスして挨拶してやろーっていう奇特なヤツがいるんだってありがたく思えよ」
「れ、れもわらひのほっひぇ…」
「減りゃしねーだろ!…いやむしろこの伸びを減らした方がいいのか?」
「いひゃいっ!」
「つーかオメーこっち来て太ったんじゃねーか?摘める量が変わった気がすんだけど」
「ひょんなこひょないっ!!」
「いやー、よく考えたらオメー食ってばっかいたもんな。どーすんだよ、その身長でデブになったら」
「にゃんにゃいにょ!!」
「…いや、何言ってんのかわかんねーし」


びよ〜ん、て工藤くんの手から離れたほっぺから、そう音が出た気がした。
ほっぺはきっと赤くなってるけど、心は青くなった。
実は私もちょっと、ちょっとだけ太った気がしたから…。
だってさ、出る料理出る料理ボリュームがアメリカンで、油もアメリカンなんだもん!
だけど美味しかったんだもん!


「ま、帰ったら頑張れダイエット」
「…工藤くんも横に伸びたよ」
「伸びてねーよっ!」
「嘘だ!ここに肉がっ!!」
「いってぇな!腹つねるんじゃねーよっ!!」
「ほら!つねれる肉がついてるじゃないっ!!」
「誰でも多少はつねれるだろーがっ!!」
「嘘!!夏に裸見たときつねれそうな肉なかったもんっ!!」
「はあ!?あんなパッと」
「やだっ!新ちゃんの裸見たって何っ!!?」
「そうか、新一が…。息子が自分より早いというのも少し複雑だな…」
「なんの話だっ!?コイツ、俺が風呂に入ってるときに乗り込んできて」
「きゃーーっ!あおいちゃんてば積極的なんだからっ!!」
「中1で一緒に風呂…。やはり複雑だな…」
「それで!?それで!?お風呂入って何したの!?」
「違うんです。本当に見たくも無い粗末な」
「だから粗末って言うなって言っただろーがっ!!!話がややこしくなるからオメー喋るんじゃねーよっ!!!!」
「いったーーいっ!!!」
「「新一っ!!!」」


工藤くんの拳が後頭部に飛んできて、それを見た優作さんと有希子さんが怒ってた。
それからしばらく、玄関前でギャーギャーとみんなで騒いでパーティは終わった。

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