キミのおこした奇跡


≫Clap ≫Top

発展途上


にゃんこの成長


「えっ!?声変わりっ!?」


生理痛っていうのは期間限定なわけで。
ちょっと我慢したら収まったけど。
一向に治らない工藤くんの喉に病院を進めたら、そう答えが返ってきた。


「って、博士に言われた」
「なんでっ!?」
「…なんでって何が?」
「みなみボイスはどこにいくのっ!?」
「なんだそのみなみボイスって?」
「ヤダっ!そんな可愛くない声で犯人はお前だ!なんて言われたくないっ!」
「だからなんの話してんだって聞いてんだろーがっ!」
「いひゃいいひゃいいひゃい!」


最近工藤くんはチョップをしてこなくなった。
その変わりに、今まで以上にほっぺ攻撃をしてくるようになったんだけど。
そのうち肉が垂れないか心配だ。


「何回かこういうのを繰り返して声が変わるんだと」
「えー」
「…なんだそのえーってのは」
「絶対今までの声の方がいいよ!」
「…」
「でも変声期って、ある日突然、なんだね!なんかもっとわかりやすいのかと思った!」
「わかりやすいって?」
「ほら、遊園地とかの身長制限みたいに、これ以上高くならないと変声期来ません、みたいな?」
「…」
「…じ、冗談だよっ!」
「…」
「痛い痛い痛い痛い!!」


チョップはされなかったけど、コメカミをぐりぐりされた…。
冗談て言ったのにっ!!


「とにかく!俺のコレは病気とかじゃねーから」


咳払いを1つして、工藤くんが歩き出す。
…声変わり、ってことはみなみボイスから勝平ボイスに向かう、ってことで、それはそれで聞いてみたいんだけど。
でもにゃんこはみなみボイスだから「にゃんこ」って感じなのに。
ああ、そう考えるとこれから喉仏が出てきたり、何より背が高くなっちゃうのか…。
…なんかそう思うと可愛くないなぁ。
にゃんこはずっとにゃんこな気がしたのに。
あ!でも、声変わりしたら勝平ボイスってことで、黒羽くんと同じ声に!!
やだっ!
その声で「あおい」なんて呼ばれたらっ!!


「…何にやにやしてんだよ気持ち悪ぃなぁ」


そんな憎まれ口も黒羽くんから言われると思うとむしろ興奮っ!


「早く声変わりするといいね!」


それで「あおい」って呼んでもらおう!
それを私のメモリアルの中でエンドレスにリピートさせるっ!


「…オメー、マジで頭やられたんじゃねーか?」
「やだな!工藤くんの成長が嬉しいんだよっ!」
「…」


工藤くんがすごく何か言いたそうだったけど、スルーした。
でも声変わりって喉が痛いのかな?
喉に優しいの何かあるか調べてみよーっと!


「オメー、今の季節知ってっか?」
「夏?秋?夏と秋の中間でまだ夏寄り?」
「…なんでまだ暑い時にスープなんだよ。しかも生姜入り!」
「ただの生姜スープじゃないよ!レンコンの生姜スープ!喉に優しいっ!」
「…喉に?」
「そう!声変わりって、喉痛いんじゃないかと思って調べたらレンコンが喉に良いって!スープだと栄養価も高いからオススメってあったからスープにしたの!」
「へー…。じゃあ生姜は?」
「体が温まるからオススメって!」
「…」
「…」
「…今の季節は?」
「夏寄りの秋?」
「体温める必要ねーだろーがっ!」


人の好意をっ!
ちっ!!


「でもまぁ…」
「うん?」
「…さんきゅ」


声変わりの途中のせいか、えらい掠れた小さい声でお礼を言われた。
ああ、作って良かった!


「で?」
「なに?」
「…何人分作ったんだよ」
「わかんない!レンコン全部使ったらすごい量になったけど、せっかくだから全部飲んでね!」
「ふざけんじゃねーっ!どんだけ水っ腹にさせる気だっ!!」


そう叫ぶ声が早く勝平ボイスになればいいなぁ、とか思ってたなんて知ったら工藤くんは更に怒るだろうなぁ、って。
他人事のように思った。

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bkm

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