キミのおこした奇跡


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夏合宿後半


雨降って地固まる


「なんか工藤くんがうち来るの久しぶりだね!」
「あー…まぁな…」
「何してたー?」
「…つーかさっきも思ったけど、オメーもう気にしてねぇのか?」
「えー?………あ、喧嘩してたんだっけ、私たち」


工藤くん、ほんと久しぶりにうちに来たなー、とか。
いつ以来だっけ?とか考えてたら思い出した。
私にゃんこと喧嘩してたんだ…。
うん?にゃんこ?
私さっきにゃんこからにゃんこ貰ったの?


「ぶっ」
「は?何噴き出してんだよ?」
「な、なんでもなっ」
「はあ?」


にゃ、にゃんこがにゃんこをっ!
選んだのは有希子さんでも買ったのはたぶんにゃんこ!
僕にゃんこです!って自己主張でもしたかったの?
あ、ダメ、買ってる姿思い浮かべたら


「あはははははは!!」
「…ついに壊れたか」


黒羽くん効果で元々ネジが緩んでた私は、何をされても可笑しかったんだと思う。
笑いすぎて目尻に涙が溜まるくらい笑った。


「…気済んだか?」
「うん!久しぶりに大爆笑した!ありがと!」
「…おー」


工藤くんがすっごい冷めた目で見てたけど気にしない。


「まぁさ、」
「うん?」
「私も工藤くんの粗末なも」
「粗末って言うんじゃねーって言っただろーが!」
「…工藤くんのスバラシイものを」
「そこから離れろ、オメー!」
「…工藤くんを見てしまったのは忘れるから、工藤くんも忘れて」


なんか変な日本語。
でも他に表現のしようが…。


「…あんなクソ不味いナポリタン作りやがって良く言うぜ」
「あ、でもあれ工藤くん全部食べたって聞いた。辛いの好きだったの?」
「…」


ああ、なんかほんとに久しぶりだな、工藤くんのこの目つき。
私が数学で同じ問題何回もミスった時の目つきと一緒だ。うん。


「昔のことをいつまでも気にしてたらハゲるよ?」
「ハゲねーよっ!」
「いや〜、わっかんないよ?男の人は大人になったら変わるって言うし!」
「俺はハゲねーって言ってんだろっ!」
「えー?ムキになるあたりすでに怪しいひゃいいひゃいいひゃい」
「あいっかわらず伸びるな、オメー」
「いひゃいよっ!!」


久しぶりにほっぺ引っ張られた!
工藤くんほっぺ攻撃地味に気に入ってる!絶対!


「ほら、メシ作り過ぎたんだろ?食ってやるからさっさと用意しろ」
「…そんな態度だとまたタバスコ入れるよ?」
「その時はオメーの口にねじ込んでやるよ」


…くっ!
久しぶりなのに相変わらず口の減らないにゃんこだ!
もっとへりくだるとかできないの!?
このにゃんこめっ!


「おい」
「はい?」
「…オメー何のパーティする気だったんだ?」
「え?パーティ?しないよ?」
「…じゃあなんだこの量」
「だからちょっと作り過ぎたって言ってるじゃない!」
「ちょっとって量じゃねーだろ!?何枚あんだよ、このチヂミ!!」
「えー?何枚だろ?…9枚?」
「誰が食うんだよっ!」
「工藤くん」
「ふざけんじゃねーっ!腹千切れるだろーがっ!!なんでこんなに作ったんだよっ!!」
「…だって、」
「なんだよ?」
「ボールに小麦粉入れようとしたら、手滑って袋に入ってたヤツ全部入っちゃたんだもん…」
「…だもん、じゃねーーっ!!いいか!オメー自分でも責任持って4枚は食えよ!?」
「そんなの無理に決まってるじゃん!」
「俺だけに食わせようとすんじゃねーよっ!!」


相変わらず工藤くんはよく叫ぶ。
でもそれがなんだか「日常」って気がした。
…工藤くんほんとに苦しそうに食べてた。
残していいのに…、なんて、あえて言わないでおいた。

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bkm

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