キミのおこした奇跡


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夏合宿後半


ハワイのおみやげ


「うふふふふー」
「あおい笑顔が怖い…」


クエスチョン。
あなたは合宿中何をしていましたか?
アンサー。
彼を思い出しにやけてました!
弓道部夏合宿も終わり、蘭と待ち合わせして帰宅途中。
とっても失礼なことを言われた気がするけど気にしない!
だって私の手元には「彼」が載ってる雑誌が2冊っ!!


「何かあったの?」
「聞きたい?聞きたい?」
「え?う、ん?」
「えー!どーしよっかなー!」
「…」


今は何が起きても楽しくて仕方ない!


「でも蘭には教えてあげるっ!」
「え?」
「これ見て見てっ!!」


「彼」が出てる雑誌(もちろん鑑賞用)を蘭に差し出す。


「…全中弓道大会?」
「そー!そのページの3位の人っ!!」
「え?3位?…江古田中1年の、黒羽快斗、くん?」
「カッコいいでしょっ!?」
「え、ええっ!?」


ああ、蘭の口から黒羽くんの名前を聞く日が来るなんてっ!


「カッコいい、って言うか、写真小さ」
「カッコいいよね!?」
「そ、そうだね?」
「でしょー!その人が私の好きな人っ!!」
「…えっ!?」
「カッコ良くってぇ、弓道も上手くてぇ、紳士ででもちょっとえっちなところもあるんだけどそこもまたっ!」
「ち、ちょっと待って!」
「うん?」
「…あおいほんとに好きな人いたの?」
「そう!いたの!江古田中の黒羽快斗くん!」


だって彼のためにこっちに来たくらいなんだし!


「…それ新一知ってる?」
「は?工藤くん?知らないんじゃない?私言ってないし。てゆうかなんで工藤くん?」
「…なんとなく」


別に工藤くんに言う必要ないし。
いや、黒羽くんのカッコ良さを見せつけたくはあるかもしれない。
工藤くんにももう少し黒羽くんのカッコ良さがあったら…!
その後もしばらく蘭に黒羽くんのカッコ良さを熱弁して別れた。
…今日は気分もいいし、疲れてるけど頑張ってご飯作ろうかな!
ふふふーん♪と鼻唄まじりにキッチンに立つ。
この勢いで冷蔵庫の食材全部使ってしまえ!
それにしても、と手を止め、さっき部屋に置いてきた雑誌を思い出す。
…やっぱり「黒羽快斗」はスゴい。
1年で全中3位!
私も来年こそはっ!!


ピンポーン


「はいはいはーい!今開けまーす!…はい、って工藤くん、どうしたの?」
「…どーした、っていうかオメー確認してからドア開けろよな」
「ああ、うん、気をつける。で?何かあった?」


この時、黒羽くん効果で気持ちが上がり過ぎてて、工藤くんと喧嘩してたなんてすっかり忘れてた。


「何か、っつーか、」
「うん?」
「…ハワイ行って来たんだけど、」
「…自慢ならお帰りください」
「そーじゃなくて!」
「何?」
「……コレッ」
「うん?」
「土産!渡しに来たんだけど!いらねぇなら捨てればいーし!」


そう言いながら小さい袋を渡された。
いや、押しつけられた?
かさかさと早速中を開けてみた。


「工藤くんハワイに行ったんだよね?」
「そーだけど?」
「…マカダミアナッツは?」
「いらねぇなら捨てろ!」
「いや、くれるって物は貰うけど…コレ、ハワイ?」


紙袋から出てきたのは、えらい可愛らしい小さな黒猫のストラップ。
なぜハワイ土産が黒猫のストラップ?
ヤシの木のストラップだったら良かったのか、って聞かれたら、それはそれでもっと困っただろうから良くないんだろうけど。
でも黒猫、ハワイに関係ある?


「かっ、母さんが選んだんだよっ!」
「え?お母さん?」
「いらねぇなら捨てろ!」
「…ありがたくもらっておきます」


工藤有希子さんチョイスの黒猫ストラップ!
なんだか美人になれそうなストラップ!
早速ケータイにつけさせてもらおう!


「あ、工藤くん夕飯は?」
「え?いや、まだ、だけど」
「良かったー!じゃあ食べてって!ちょっと張り切って作り過ぎちゃったんだ!」


今日は黒羽くんを見つけたし!
工藤ママからストラップもらえたし!
なんて良い日なんだっ!!

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bkm

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