■ホビットカップル解散危機
「オメー俺がなんで怒ってっかわかるよな？」
「なんでですか痛いっ！」
「オ・メ・ェ・がっ！！あることないことベラベラ喋ったせいで、たった一晩で俺が嫌がるオメーを黙らせて無理矢理ヤったなんてことになったんだろっ！？」
「痛い痛いっ！！」
工藤くんの粗末なもの見てしまった翌日の夕方、今日も一緒の夕飯はボイコットしようと思っていたら、工藤くんがうちに乗り込んで来た。
そして今日は額チョップの連打で当たり散らされてる。
「私被害者！」
「被害者は見られた俺だろーがっ！！」
「あんな粗末なものを見て私は心にダメージが痛い痛い痛い痛い！！」
「俺の心がダメージ受けてんだよっ！！」
工藤くんは額チョップ連打から、コメカミぐりぐり攻撃に技を変えた。
「オメーのせいで今日は部活の間中、無理矢理ヤった最低ヤローって目で見られたんだぞっ！？」
「私ヤられたなんて言ってないっ！！」
「じゃあ何言ったんだよ！？」
「私は事実を言っただけ！」
「俺の風呂覗いたって言ったのかよ！？」
「覗いてなんかいないでしょう！？私は工藤くんに裸見せられたって言っただけだもんっ！！」
工藤くんのぐりぐり攻撃が止んだ。
「…1つ確認しときてーんだけど」
「なに！？」
「オメーが！風呂入ってる俺のところに来たんだよな？」
「そうだよ。釜飯でいいか確認しようとして」
「だったらそれがどーして俺が裸見せたに擦り変わんだよこのバカ女っ！！」
「痛い痛い痛い痛いっ！！」
左腕捻りあげられたっ！！
ほんとに痛いっ！！
「私悪くないもんっ！！」
「誰が聞いてもオメーしか悪くねーだろーがっ！！」
「そんな理不尽なキレ方するならもうリベンジ・ザ・レモンパイもあげないっ！！」
「…レモンパイがなんだって？」
「リベンジ・ザ・レモンパイ！勉強見てもらったお礼に作ろうと思ったのっ！」
「…俺に礼がしてぇなら食い物以外にしてくれ」
にゃんこのくせにっ！！
人の好意を受けとる前から拒否しやがった！
このにゃんこめっ！
「もう工藤くんには何も作ってあげないっ！」
「あー、上等だ！俺もオメーの料理とも言えねー食い物食べなくて済んでせいせいするっ！」
「…じゃあもう用ないでしょ！！出てってっ！！」
「ああ、そーするよ！オメーもう俺に話かけんなよ！？」
「工藤くんが話しかけて来なきゃ話さないわよっ！！」
ふんっ！とそっぽを向いて工藤くんが去っていった。
何が俺に話しかけるなよ！
いっつも話しかけてきてるのはにゃんこじゃんっ！
ああ、イライラするっ！！
「…芳賀さん、それほんとにサッカー部に出すの？」
にゃんこが乗り込んで来た翌々日、家庭科部の合宿がはじまった。
…サッカー部、テニス部と合同で。
「何か問題でもありますか？部長」
「いや何かって言うか…全体的に問題が…」
「せっかく作ったんで食べてもらいます！！」
サッカー部のためだけに作った特製激辛ナポリタンをっ！！
「…工藤くんと喧嘩してるって聞いたけど」
「関係ないですっ！暑い夏を乗りきるには激辛くらいがちょうどいいんですっ！」
「…じゃあ私は止めないけど、サッカー部からクレーム来たら」
「工藤くんのせいにしてください」
「…」
これで思い知ればいいんだっ！
私は粗末なものまで見せられたあげくにボロくそ言われたんだもんっ！！
これで自分の行いを後悔すればいいんだっ！
「…部長、あれほんとに良いんですか？トマトソースと見せかけて、あの赤さタバスコなんですよ？ナポリタンかどうかも怪しい…」
「止めたら止めたで私たちが食べさせられそうだし…。アレを食べるのは無理だわ…」
「工藤くんは自業自得でも他の部員はいい迷惑ですよ？」
「…口直しに何か作っておこうか…」
そんな会話が繰り広げられていたとも知らず、合宿1日目、サッカー部のみに私の特製激辛ナポリタンが振る舞われた。
…この後、合宿期間中、食器洗いとかの雑用しかやらせてもらえなくなった。
…どれもこれも理不尽なにゃんこのせいだっ！！
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bkm