キミのおこした奇跡


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夏休みの予定


強制夏合宿


「え?合宿、ですか?」
「そう。運動部に限らず全部活1回は学校に泊まり込む夏合宿があるんだ」


帝丹中学伝統、全部活強制夏合宿。
部活ごとに合宿日を振り分けられて学校泊まりこみで楽しむ、いや、部活動に励むらしい。
私立はすごいなぁ、なんて、ここでも思った。


「これ日程表ね」


主将から渡されたプリントを見る。
…ほんとだ、全部活書いてある。
運動部はいいよ?
吹奏楽とかも。
でもこの囲碁将棋部って1日囲碁将棋してるの?
いや、合宿だから最低2日?
…私なら無理。


「今年は空手部と同じ日だから」


合宿日が同じだからって何があるわけでもなく。
強いて言うなら寝泊まりする場所が一緒になるくらい、って言われた。
…それが一番大事じゃない?
でも空手部なら蘭がいるからいいや!


「家庭科部も合宿ある…」
「全部活参加だからね。家庭科部は、と…ああ、今年はサッカー部とテニス部が一緒か!いいなぁサッカー部とテニス部!」
「え?なんでですか?」
「合宿中は実習室が解放されて合宿日が同じ部活が順番に先生の指導つきでご飯作るんだけど、家庭科部と一緒だと3食家庭科部が作ってくれるんだよ」
「そうなんですか?」
「そうそう。だから毎年家庭科部の取り合いになるって聞いたよ?」


…3食作らなきゃなんだ、赤の他人のために…。
しかもサッカー部ってにゃんこがいるじゃん…。
今は辛うじて夕飯だけなのに、朝昼晩とボロくそ言われなきゃいけないのか…。
なぜ?


「合宿日ってどうやって決めるんですか?」
「各部部長が話し合いでね。それで決まらない場合は、くじ引きして決めるんだ。その日都合悪い?」
「あ、いえ、都合は大丈夫ですけど…」
「そう?じゃあ夏合宿忘れないようにね」
「はい」


改めて日程表を見る。
家庭科部は夏休み前半2泊。
弓道部は夏休み後半2泊。
被ったりすることなくて良かった。
…いや、むしろ被って弓道部に逃げた方が良かった?
難しいところだ。


「そういや家庭科部と合宿日同じだったな」


最近の日課。
夕食後、工藤家リビングテーブルで隣同士で座りお勉強タイムです。
…帰りたい。


「でも全部活で合宿ってすごいね」
「は?普通じゃね?小学校の時からあったし」


帝丹て部活動に力入れてんだなぁ…。


「でもオメーも大変だな。全部で6泊?」
「え?4泊だよ?家庭科部と弓道部で2泊ずつ」
「は?だって芳賀オメー補習あんだろ?」
「え?う、ん…あるけど?それが何?」
「補習受けるヤツは部活の他に勉強合宿があんだぜ?知らねぇのかよ」
「べ、勉強合宿っ!?」
「そー。だからみんな補習つかねぇように必死なんだって。今年1年の補習者芳賀入れて3人だとよ」
「さ、3人…」
「ま、頑張れ」


工藤くんはペンを指先で器用に回しながら説明してくれた。
…勉強合宿って何?
しかも3人…。
それって先生とほぼマンツーマン…。
なんで?
あんなに難しかったんだから、もっと補習者出てていいんじゃないの!?
さてはみんな先生にワイロを


「いたぁ!?」
「手止まってる。早く問い2解け」


合宿ネタを振ったのはにゃんこなのにっ!
頭にチョップして来やがった!!


「頭叩いてこれ以上バカになったらどーすんのっ!?」
「安心しろ。それ以上バカになりようがねぇから」


にゃんこめっ!
自分は補習受けないからって偉そうにっ!!
このにゃんこめっ!!


「…問い2ようやく正解、と」


あの後3回間違えて、間違えるたびにほっぺつねられた…。
くぅっ!
デキル女になるまでの辛抱だ!
耐えろ、私っ!


「じゃ、明日の夕方までここ宿題な」
「…はっ!?宿題!?ナニソレ!なんで!?」
「なんでも何もオメーがバカだからだろ?」


バカって断言したコイツ!
バカって言う方がバカだ!なんて言ったら今度はチョップがどこに飛ぶかわからんない…。
耐えろ、私っ!


「あ、それから」
「何!?」
「…家庭科部の合宿、芳賀オメーメイン料理作んなよ?うちの部員が腹壊す」
「…っ!」


言い返したいっ!
でも今言い返すと夏休みの宿題がっ!!
合宿までの辛抱だ。
合宿でびっくりするくらい勉強して、勉強デキル女になるしっ!
びっくりするくらい料理の腕も上げてやるっ!!
新たに誓いを立て、夏休みまであと数日。

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bkm

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