球技大会A

まさかのタイブレイクまできてしまった



私の苦手な持久戦


走っている感覚すらおかしくなりそうなくらい足が痛い


何とか頑張って返球しているけど長くは保たない


そしてついに足がもつれて転倒してしまった



『痛っ...』

右足に血が少し滲んでヒリヒリする



そして相手は負傷した私の右足を狙うかのように右サイドのギリギリを打ってくる



テニスってただの球技じゃない


これはメンタルが試される


感情的になってはダメ


冷静さを失ったらその時点で負けてしまう...




痛い足を庇うのは試合に勝ってからでいい






丸井くん...




いつも私のことを気にかけてくれて...


私におはようって言ってくれて...


テニスの練習に付き合ってくれて...


応援してくれて...



いつも私はそんな丸井くんの姿を見てきた












_________だから今度は私の後ろ姿を








しっかり見ていてください...!





相手も少し体力や返球する力が落ちてきている




何とか追いつき、いよいよ私のマッチポイント

相手の返球が少し弱くなった隙を見てネット前に出る



「桜宮さんって前衛タイプだっけ?」

「いや...アイツはどっちかっていうと後衛向きだけど...」


これはね、屋上から丸井くんを見てた時にかっこいいなって思ってた技なんだ


ちゃんとできてるかわかんないけど...


これで決める!!!


























試合が終わると同時にその場に崩れた


一気に力が抜けるなんて初めてだ...

「大丈夫かよぃ!」



駆け寄ってきてくれたのは丸井くん

『勝ったよ...丸井くん』

「よく頑張ったな」


そう言ってグータッチしてくれた


「つかいつの間にライジングショットなんか打てるようになったんだ?俺教えてねえよな?」

『見様見真似で覚えたの...』

「マジかよぃ...」


ずっと丸井くんを目で追っている私にしかできないことかな


『だって丸井くんは私の憧れだから』

勝った嬉しさとみんなの協力が無駄にならなかったことが何より嬉しくて満面の笑みで答えた


うまく笑えているか分からないけど、みんなにありがとうをずっとずっと言いたかったんだよ


『丸井くん、私にテニスを教えてくれてありがとう!』


すると丸井くんは数秒間何も言わずにただただ私を見つめる


丸井くん目力強い

目が大きいし余計にそう感じてしまった



「おめでとう、桜宮さん」

幸村くんがタオルを差し出してくれた



『幸村くんも練習に付き合ってくれてありがとう!』

「最後追いつきがすごかったね」



すると丸井くんがムスッとした顔で...


「喉渇いてんだろい?何か飲みもん買いに行こうぜ」

そう言って私の手を引いていったのであった













「ふふ...丸井って面白いね」

「精市、からかうのも程々にな」

「とか言って新しいデータ追加しちょるのぅ、参謀」

「ブン太はあれでいいんだ」

「たるんどる!」





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