初対面

丸井くんやテニス部のみんなのお陰でだいぶ打てるようになってきた


そんな時、トイレの中から聞こえてきた会話


「最近桜宮さんってテニス部のみんなといるよねー!」

「イケメンたちに囲まれて何なのって感じ〜」

「絶対丸井くん目当てだよ!」

「この前一緒に練習してるの見た!可哀想だよね」

「あの子が一緒にいるとテニス部に汚名ついちゃーう!」



やっぱり私、いない方がいいんだ...


「ただですら厳しい練習してる中で桜宮さんの練習に付き合ってあげてるもんねー」

「休む暇なくて気の毒すぎる〜」


私が丸井くんたちの練習を邪魔しているんだ


私が彼らと一緒に居ることで悪い印象を持たせてしまう...






教室へ戻ると丸井くんがこちらに駆け寄ってくる


「おーい桜宮!今日は放課後に部活あるから昼休みに練習しようぜ」


私が丸井くんたちに迷惑をかけている

休む暇すらなく練習に付き合ってもらっている


『ううん、今日はいいや』

「今日は元気ないのか?」

『えっと...今日は筋肉痛が酷くて...』


そっかと言って丸井くんは戻って行った


本当は練習したい










お昼休みは用事があるからと言ってテニス部のみんなとの昼食は断った


中庭で1人、お弁当を黙々と食べる




今日のお弁当はおいしくないな





何でだろうなんて考えなくてもわかる




それは丸井くんが教えてくれたから






「今日のメシはまずいな〜」


『え...』



後ろを振り返ると丸井くんが窓から私を眺めていた




『何でここに...?』

「桜宮こそ何でここに居んだよ」


用事があると変に誤魔化して1人でお弁当を食べていたけど丸井くんが来た瞬間



涙が溢れた



『だって...』


「だって何なんだよ?」






『私が丸井くん達と居るとテニス部に汚名がつくし、何よりみんな自分のことで精一杯なのに私の練習に付き合わせちゃって...迷惑だって!』


涙が止まらない


自分でも1番分かっていたから...



一緒に居ると迷惑をかけてしまうって....




「誰がそんなこと言ったんだ」

いつもより少し低い声で丸井くんは言う


「俺は桜宮が一緒に居て迷惑だなんて思ったことねーよ」

「それは俺も同意だな」


後ろから幸村くんがひょっこり顔を出す




「俺そういう噂信じないし、陰口って嫌いなんだよね」

「俺が迷惑だって思ったらちゃんと口に出して言うし、周りの変な噂に流されんな!」


丸井くん私の肩をガシッと掴んで言う


「俺が今お前に言いたいのは...

















一緒にメシ食おうぜ!」



幸村くんがハンカチを手渡してくれる

「目が腫れてしまう前に一度顔を洗った方が良さそうだね」

『丸井くん、幸村くん....本当にありがとう』



「筋肉痛ってのは信じていいんだよな?」

『...うん!また明日からよろしくしていいかな?』


「当然!俺、桜宮に勝ってほしいし!」

「ブン太のお墨付きだしな」

「ジャッカル!それ今俺が言おうとしたんだって!」


とても賑やかなお昼休みを過ごせた





丸井くん以外のテニス部のみんなと別れて教室に戻る途中



「丸井〜!」

「早乙女じゃん」


丸井くんの前に来たのはとっても可愛らしい女の子

ゆるふわって言ったらいいのかな


「あ!貴女が桜宮まいちゃんね!」

『私のこと知っているんですか?!』


面識ない子に名前を知られているだなんて初めてだ

「知ってるよ〜!私は早乙女蕣っていうの!よろしくね!」


ま、まぶしい.....!

「ねえ丸井〜、この前借りたORANGE RANGEのライブDVDすっごくよかった〜!」

「だろい?」

「今度新しく出るアルバムは買うの?」





とても自然な会話...

丸井くんと蕣ちゃん、お似合いだな



美男美女って感じで



なのに何だろう、とても歯痒い気持ち



すると予令が鳴った


「じゃあ丸井、また今度貸してね!」

「おう」

「まいちゃんもバイバーイ!」


『バイバイ...』


「アイツは小学校から一緒なんだ」

『そうなんだ』



私がまだ知らない丸井くんを知っているんだ

蕣ちゃん...とても可愛い子だったな





[ 11/38 ]

[*prev] [next#]

[しおりを挟む]



×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -