銀色ジャスティス | ナノ


▼ 旅にはパンツは忘れてもUNOは忘れるな

自室で書類整理をしていたら神楽から電話がかかってきた。


〈風香風香、聞いてヨ!〉

『何、神楽』

〈神楽?誰アルかそれは〉


オメーだよ。


〈私のことは工場長とお呼び!〉

『何でだよ』

〈いいから工場長呼ぶヨロシ〉

『女王様の方がいいんじゃないの、工場長?』

〈女王様なんかより工場長の方が生産的だから偉いアル!〉


あっ そうですか。


『で、何のよう?あたし仕事あるんだけど…』

〈ムフフ…これを見てもそんなことが言えるかな!?〉


ジャーン!!と口で効果音を出す神楽。いやあのさ…。


『電話なんだけどコレ』

〈!?〉

『いや「なっ…なんだとぅ!?」みたいな反応とられても』

〈と、とにかく、コレが当たったアル!〉

『だからコレって何』

〈宇宙への旅四名様のチケットアル〉

『ふーんそれはよかったねー……って、え?』


あっさり言うもんだから聞き流すとこだったんだけど!?

う…宇宙旅行ォォォ!?





第十五訓
旅にはパンツは忘れてもUNOは忘れるな





まあ要約すると、福引きをやった神楽が偶然にも宇宙への旅四名様チケットを手に入れたらしい。
始めは万事屋三人とお妙の四人で行こうとしていたらしいが、お妙が仕事のシフトが急に入り行けなくなってしまったらしい。


『つーワケであたし行ってくるねー』

「「待て待て待て!!」」

『え、何』

「おまっ…バカなのか!」

『何でだよ』


その日は非番だし別にいいじゃないか。そう土方さんに言えばダメだと言われる。こんなやりとりでかれこれ数十分は経っている。
まあ一応旅行だし、上司である近藤さんと土方さんには伝えておくべきかなと思ったあたしをぶん殴ってやりたい。


『いーでしょ?でしょ?』

「女の一人旅はあぶねぇからダメだ」

『ねぇ話きいてた?万事屋いるけど』

「お前だって女なんだぞ、一応。ダメだ」

『一応は余計だ土方コノヤロー』


土方さんがダメなら近藤さんだ。あたしは近藤さんと向かい合う。


『ってなんで泣いてんの!?』

「うぅ…風香ちゃんももうそんな年齢か…」

『いや意味わかんないってか泣き止んでくんね?』

「俺は決めたぞ、トシィィィ!!」

「何をだよ」


「旅を許可する!!」


「はぁぁぁぁ!?」


ちょ、土方さん声デカイうるさい。


「マジで言ってんのか近藤さん!?宇宙だぞ?宇宙旅行だぞ!!しかも万事屋と!」

「なーに、新八君がいるから平気だ。安心しろ」

「俺は認めねぇ、断じて認めねぇ!!」

『いやあたし許可求めにきたワケじゃなくて伝えにきただけなんだけど』








翌日。
あのあとは大変だった。うん…いやもうホント大変だった。泣きそうになるくらい大変だった。あえて文章として打たないのは面倒臭いからではない。思い出したくないだけなのだ。もう一度言う。面倒臭いからではない。


『んじゃ、行ってきまーす』


後ろで泣いてる近藤さんはほっといて屯所を出た。

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