▼ キャバクラ遊びは20歳になってから
「おーい風香、ちょいと付き合ってくれや」
『あ、ごめん。あたし銀時はちょっと…だって天パだし…』
「ちげーよ!てゆーか天パ ナメんなよオイ!!」
『あーハイハイ。で?付き合ってのホントの理由は?』
「お妙に呼ばれててな…お前も行くだろ?」
飲みに、とジェスチャーで伝える銀時。あたしの返事は一つ。
『行くに決まってんでしょ』
だと思った、と言い銀時は笑った。
第三十七訓
キャバクラ遊びは20歳になってから
即答で返したあたしは銀時とマダオと共にスナックすまいるに来ていた。どうやらお妙がサービスしてくれるらしい。やったね。
『あれ…阿音さん?』
「アンタは…毎度毎度ゴリラを連れ帰っていく…」
『あたしそんな覚え方されてたの』
なんかイヤだわー…。
阿音さんというのは妹の百音さんと共に巫女をやっている人である。
「風香お前あのアバズレ巫女と知り合いなのか?」
『アバズレ巫女?ああ、阿音さんのこと?そ、知り合い…ってか顔見知り程度かな』
「誰がアバズレよォ!!真選組のアンタも否定しなさいよ!てゆーかなんで
「ん?ちょっと知り合いがな」
「お客様、ご指名の女の子は?」
『お妙頼むわ』
「銀さーん、風香さーん、長谷川さーん、こっちです」
そうして出てきたのは手を振りアピールするお妙。しかしその笑顔の裏には悪魔が潜んでいる。
そして阿音さんからの殺気。何この二人。めちゃくちゃ恐いんだけど。
「うぃーす、おりょうでーす。わっ!カッコイイグラサン!」
「えっ わかる?高かったんだよコレ実は」
「とりあえず何?ケツとかさわっていいの?」
席についたあたし達。ちなみにアホな事を抜かした銀時の顔面に肘を入れたのはお妙である。
「冗談だよ。お前の貧相なケツさわる位ならパン粉を練り続けた方がマシだ。サービスって何?こんなサービス御免だよ、ちょっと」
「どうだか。鼻血なんてたらしていやらしい」
「すごいやこの人。少し前の事もう忘れてるよ」
「とりあえず何飲みますぅ?ドンペリとかあと…そうね、ドンペリとかあるけど」
「焼酎水割り」
『お妙、ドンペリだって』
「わかったわ」
「誰かー。通訳呼んでくれ」
何て失礼な。
「ドンペリか〜、なつかしーな。幕府にいた頃は接待とかでよく飲んでたよ。でも今じゃちと高すぎて手が出ねーな。なんかもっと安いのでいいよ、ビールとか…」
マダオがメニューを開く。
【・ドンペリ
・ドンペリのドンペリ割り
・ビールじゃなくてドンペリ
・首領ペリ
・ドンペリしかねーだろ
・やっぱドンペリだろ
・ドンペリって言っちゃえヨ
・アレ?ドンペリって何だっけ。なんか訳わからなくなってきた
・
『「「(ドンペリしかねェェェェェェ!!)」」』
あたし達の心は一致した。
いくらドンペリが飲みたくてもこんなドンペリばかりじゃ飲む気は失せる…ワケではないけど、やっぱり悩む自分はいて。てゆーかこれぼったくりじゃね。完全にぼったくりじゃね。ドンペリのドンペリ割りって何。割り切れないよ。ドンペリもあたしの気持ちも割り切れないよ。
「銀さ〜ん 風香さ〜ん、私久しぶりにドンペリが飲みたいドン」
「ドンって何?久しぶりって飲ましたことねーよそんなもん」
『お妙、あたしも飲みたい』
「長谷川さんのグラサンとドンペリ、合うと思うんだけどな〜ペリ」
「ペリ!?おかしい!おかしいよ!ってかほめるところグラサンしかねーのか!?」
『むしろほめるところってどこ?』
「ホントアンタ辛辣だな!!」
それほどでも。
『銀時ー、マダオー。あたしもドンペリ飲みたいなぁ〜』
「ドン」「ペリ」
『ホラ、お妙とおりょうだってこう言ってるじゃん』
「オイオイオイオイ。語尾を合わせたらドンペリになっちゃったよォ」
「サブリミナル!サブリミナルかァ!!俺達の深層心理に直接働きかけるつもりかァ!!耳をふさげェェ!!惑わされるなァ!!」
『すいませーん、ドンペリ五本お願いしま…ムグー』
銀時に口を塞がれた。
その時、入り口付近から喚声が聞こえてきた。そこにいたのは…。
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