▼ 男はみんなロマンティスト
「オゥ、パスタ刑事 アメちゃん刑事、アンパン買ってきたぞ。張り込みは体力勝負だ、つめ込んどけィ」
『パスタ?アメちゃん?』
「何だよパスタって…僕に何の縁もないじゃないか、神楽ちゃん」
『何でアメちゃんなの、神楽?』
「新八は何かパスタっぽいだろ、生き様が。風香はあれアル、なんとなく。それから俺のことは山さんと呼べ」
『なんとなくはないだろなんとなくは』
「何でだよ。今度は一体何のテレビに影響されたの?」
「山本神楽っていうんだよ、ホントは」
「ウソつくんじゃねーよ!!一時のマイブームで設定ねじってんじゃねーよ!」
夜。あたしと新八と神楽は廃寺に来ていた。張り込みなわけで草むらに隠れている。ちょ、新八うるさい。
「それより奴さんはどーだ、パスタ?」
「全く動きはナシだよ、神…山さん。銀さんは二、三日中に動きを見せるって言ってたけど…っていうか銀さんは何やってんの?」
『土方さんにバレて身動きできない状態』
そう答えると新八はそうなんですかとうなずき、ききたいことがあると言ってきた。
「幕府をも動かす連中って、一体何なんですか」
『……天導衆って知ってる?』
答えはノーだった。まあ知らないのも当然だけど。
『将軍を傀儡にしこの国を自分勝手に作り変えてる、この国の実権を事実上にぎってる連中のことだよ。あの趣味の悪い闘技場はその天導衆の遊び場ってワケさ』
そう、奴らは実権をにぎってるんだ。
『天導衆に逆らえば首と身体がサヨウナラすると思った方がいい』
「恐いことさらりと言わないでください!」
それは逃げることも同じだ。天導衆から逃げるということは幕府から逃げるということ。見つかったら死は免れないだろう。
「……銀さんはとり調べでも受けてるのかな。とり調べといえばカツ丼……。いいな〜 もうあんパンはあきたよ、パスタとか食べたい…あっ!パスタ刑事じゃん」
「成長したな、パスタ。俺の背中は頼むぞ」
「ハイ、山さん」
『じゃああたしは山さんとパスタの目玉でも護ろうかな』
「なんでアンタは目玉にこだわるんだよ」
いや特にこだわりはないかな。
「スイマセン、背中がら空きですが」
『あ、道信さん』
「ギャアアアアア!!」
「落ち着けパスタァ 確保だ、確保ォ!ゲホッ!あんパンがのどに!」
第二十三訓
男はみんなロマンティスト
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