銀色ジャスティス | ナノ


▼ 粘り強さとしつこさは紙一重

巡察中、あたしは団子を片手にブラブラ歩いていた。だって平和なんだもん。つまらん。


『……ん?』


ファミレスに見慣れた銀髪を発見した。






「よかったじゃねーか、嫁のもらい手が見つかってよォ。帯刀してたってこたァ幕臣かなんかか?玉の輿じゃねーか。本性バレないうちに籍入れとけ、籍!」

「それどーゆー意味」


店内に入ると聞こえてくる会話。あ、女の人が銀時の頭を掴んで机に叩きつけた。


「最初はね、そのうち諦めるだろうと思ってたいして気にしてなかったんだけど……気がついたらどこに行ってもあの男の姿がある事に気がついて、ああ異常だって」


この女性はストーカーされているのか。なんて可哀想な。


「ハイ、あと30秒」

「ハイハイ、ラストスパート。噛まないで飲みこめ、神楽。頼むぞ、金持ってきてねーんだから」

「きーてんのアンタら!!」


……何やってんだ銀時は。メガネ君を不憫に思ったあたしは、気づけば彼らに声をかけていた。


『やっふー。この間ぶりだね』


メガネ君とチャイナ娘は「あ」と声をもらした。


「…………。んだよ、俺にどーしろっての。仕事の依頼なら出すもん出してもらわにゃ」

「銀さん僕もう2か月給料もらってないんスけど。出るとこ出てもいいんですよ」

「銀ちゃん、この人誰ヨ。恋人?愛人?妻?」

『ねェチャイナ娘、幼馴染みって言葉知ってる?』


おかしいな、確かに池田屋でそう言ったはずだけど。そして銀時はあたしの存在はスルーなんだね。


「ストーカーめェェ!!どこだァァァ!!成敗してくれるわっ!!」


店内で何叫んでんの。それにストーカーって言われて出てくる奴はいな……


「なんだァァァ!!やれるものならやってみろ!!」

「ホントにいたよ」


ガタガタとテーブルの下から出てくるストーカー。ってちょっと待てこの人……。


『こ、近藤さん!?』


何してんの!?何やってんの!?


「ストーカーと呼ばれてて出てくるとはバカな野郎だ。己がストーカーであることを認めたか?」

「人は皆、愛を求め追い続けるストーカーよ」

『真選組局長が何してんの?バカなの?死ぬの?』

「時に貴様。先程よりお妙さんと親しげに話しているが一体どーゆー関係だ。うらやましいこと山の如しだ」

「許嫁ですぅ」


そう言って銀時の腕に自分の腕を絡ませる女性。


「私、この人と春に結婚するの」

「そーなの?」

「もうあんな事もこんな事もしちゃってるんです。だから私のことは諦めて」


「あ…あんな事もこんな事もそんな事もだとォォォォォ!!」


『そんな事はしてないよ』


何なのこのゴリラ。思い込み激しすぎんだろ。


「いやっ!!いいんだお妙さん!!君がどんな人生を歩んでいようと俺はありのままの君を受け止めるよ、君がケツ毛ごと俺を愛してくれたように」

「愛してねーよ」

「オイ白髪パーマ!!お前がお妙さんの許嫁だろーと関係ない!!お前なんかより俺の方がお妙さんを愛してる!!」


近藤さんは銀時を指差すとこう言い放った。



「決闘しろ!!お妙さんをかけて!!」

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