▼ ジジイになってもあだ名で呼び合える友達を作れ
何も知らされずに無理矢理【HOTEL IKEDAYA】に連れて来られた。まさか土方さんはあたしが真面目に会議をきいてたとでも思ってるの?残念ながらそれはないよ。
「いいかお前ら。俺が合図したら中に入れ」
口をそろえて「おうっ!」なんて言うけどあたしほんとわかんないんだけどどうしよう。いや中に攘夷志士がいるのはわかってるんだけどさ、それが誰なのかが知りたいんだよあたしは。
そうこうしてる間に土方さんが合図をして隊士達が襖を蹴破る。
『御用改めであるー。神妙にしろ、テロリストどもー』
「もっときちんと言えや!」
『あだ!』
土方さんに頭を殴られた。失礼な、ちゃんと言ったのに。
「しっ…真選組だァっ!」
「イカン、逃げろォ!!」
「一人残らず討ちとれェェ!!」
土方さんの言葉を合図に隊士達は敵に斬りかかる。しかし数名逃げたようで、あたしはそれを追うようにその場を後にした。
「なななななんなんですか、あの人ら!?」
「武装警察『真選組』。反乱分子を即時処分する対テロ用特殊部隊だ」
前方を走る敵はもしゃもしゃの銀髪頭とチャイナ娘、冴えないメガネに黒髪長髪の男だった。
……ん?今の声声どっかで聞いたことあるよーな。
「女の子もいますよ!?しかもかわいい!!」
「む?女の子?」
くるりとこちらを向く長髪の男。目がバッチリあった。
え、嘘。見間違いじゃない?あたし目ちゃんとしてる?見間違いじゃない?
そう。そこにいたのは、あたしの幼馴染みであり過激攘夷派浪士で知られる桂小太郎……もといヅラだったのだ。
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