雷撃は闇に呑まれる(小十vs佐)
刀と手裏剣が激しくぶつかり合う。
どちらのものか分からない血潮が宙を舞い、地に落ちる。
どちらも限界が近づいていた。
俺は一言も発せずに、ただ目の前の忍に刀を振るう。
常ならばへらへらと何か語りかけてくる猿飛も、その顔からはいつもの雰囲気は感じられない。
そして、ようやく。
ずたずたに切り裂かれた猿飛がひらりと倒れた。
奴の武器はわずかに両手から離れる。
今がその時だと、喉元に刃を突きつけた瞬間。
ニヤリといやらしく忍は笑った。
その瞳の奥底に暗い闇を宿して。
「忍に、んな、も、んが…きく…かよ…っ」
絶え絶えの息でそう吐く猿飛に、
全身が粟立った。
思わず震えた手に力を込め、一思いに。
だが。
やはり猿飛はニヤリと笑い、たしかに喉を貫いたはずの刃には、最初から血などついていなかったのだと。
闇へ溶けていく忍の乾いた笑い声が聞こえたような気がした瞬間、俺はやっと気づいたのだった。
戦国小十佐はシリアスや暗いのが好き。
2014.3.28
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