その日の夜、スザクはあの屋根裏部屋で美奈のことを話してくれた。

髪の色は日本人そのものだが、顔立ちや瞳の色が日本人離れしている彼女。
スザクが言うには、美奈はハーフらしい。
美奈の母親は良家の娘で、ブリタニアへと嫁いだが、美奈が小さい時両親は事故死した。
日本に引き取られた彼女は、顔立ちや瞳の色の違いからイジメを受けた。
人見知りが激しいのはそのせいだと、スザクは語った。
美奈は本当に信頼する人にしか心を開かない。
だから俺たちに心を開くのはだいぶ先かもしれないと、辛そうに語るスザクを覚えている。
俺は美奈と仲良くなるんだったら、何年かかってもいいとスザクに言った。
あいつは嬉しそうな顔をして、「ありがとう」と述べた。

その次の日から、おかしな話で、美奈がじっと俺を見るようになった。
初日は目もあわせてくれなかったのに・・・・だ。
けれどもまだ怖いのか、スザクの服を握り締めていた。

次の日、彼女はスザクの服を握らなくなった。じっと俺の瞳を見つめている。
一週間たったころ、スザクがナナリーと散歩に出かけた日、蒼音はそろそろと俺に近づいてきた。
そしてか細い声で小さく尋ねる。

「あなたの瞳、もっとよく見てもいい?」

俺が頷くと、美奈は顔を近づけてきた。
スカイブルーの瞳に俺の姿が映るくらい。
近くに美奈の顔があって、俺の心臓は大きく高鳴った。
美奈はしばらく俺の瞳を見たあと、顔を引っ込める。

「綺麗な色だね。私もそんな色の瞳がよかった。」

美奈はこのとき、初めて俺の前で笑った。
マシュマロみたいな柔らかい微笑で、もっともっと美奈の笑顔が見たいと思ったのは事実。
そう思った頃にはもう、俺は美奈しか見えなくなっていた。
彼女が・・・・・・好きになった。



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