* * *



「……あ」
 綺麗なドレスに身を包んだなのはが、フェイト達と一緒に歩いてきたのは、純白の扉の前。
 そこには。
「お父さん……」
 なのはの父である、高町士郎がいた。
「なのは」
 なのはの服装をみた士郎は、しばし沈黙し……微笑んだ。
 次の瞬間、はっとしたように口を開いたのは、フェイトだった。
「あっあの、お、おめでとうございます!」
「あ、おめでとうございます!!」
 そして、フェイトの次にはやて、アリサ、すずかがそれぞれ口々に言う。
「なのはの親友の皆さん、今日はありがとう」
「ありがとう、みんな」
 親子二人は、そう言いながら、また微笑んだ。
「さ、そろそろ式が始まるから、皆さんは行きなさい」
「はい!じゃあ、それでは!」
 士郎が手で軽く誘導すると、明るくフェイト達は違う扉から入っていく。なのはの視界から消える前には「なのはー!期待してるからねー!」などと言って、笑って駆けていった。
「もぅ……みんなったら……」
 そんな風に言われたら、余計恥ずかしいじゃないか。
 そう思って苦笑していると、
「なのは」
 くしゃり、と、頭を撫でられた。
「ふぇ?お、お父さん?」
「なのは、大きくなったな」
 その男の人特有の大きな手からは、優しい温もり。
「……幸せに、なるんだよ」
 言葉の数は少なくても、思いは、伝わるから。二人は、ずっと一緒にいた親子だから。
 これからは、新しい家族と、幸せになろう。
「………うん」
 そして、父親の腕に娘は腕を絡めて、扉の前に立つ。
 そうして――純白の扉は開かれた。


 パイプオルガンの音色。
 純白に包まれた空間。
 温かい日差し。
 目の前にひかれた赤い道。
 そして、道の先には。
「ユーノ君……」
 純白に身を包んだ、男性が微笑んで立っている。
「行こうか」
「…はい」
 士郎の声から、一歩ずつ、赤い道を歩みだす。
 周りには、たくさんの優しい人達。フェイト、はやて、アリサ、すずか、クロノ、エイミィ、リンディ、ヴィータ、シグナム、シャマル、ザフィーラ、アルフ、お姉ちゃん、お兄ちゃん、お母さん――……。
 そして今、一緒に歩んでいるお父さんも。
 みんな、自分を支えてくれている。
 みんなが私を、ここまで連れてきてきれたから――ここにいれる。
 そして、二人は純白のスーツの男性のところにたどり着く。
 なのはの腕から、士郎の腕が外された。士郎は、また微笑んだ。
 それからユーノを見つめる。ユーノは、強く士郎に頷いた。士郎も、そのユーノを見て強く頷いた。そして、なのはから背中を向け、反対に歩きはじめる。
 なのはは自分の父親の背中をみつめると、ユーノに向きあった。ユーノは微笑んだ。なのはも、頬を赤くしながらも微笑んだ。
 と、二人の前にいた、神父が声をかける。
「ユーノ・スクライア、高町なのは、よろしいですか」
 その言葉に二人は前を向いて。
「はい」
「…はい」
 静かに頷いた。
「ユーノ・スクライア」
「……はい」
 呼ばれ、決意の瞳をするユーノ。
「あなたは――その健やかなるときも、喜びのときも、悲しみのときも、貧しいときも、これを愛し、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心をつくすことを誓いますか」
 その言葉に、ユーノは、

「誓えません」

 その瞬間、後ろからざわめきがおこる。
「ユーノ君……っ!?」
 誓われるはずのなのはも驚きがかくせない。
 しかし、ユーノは。
   ・・・
「僕は神には誓わない」

 そして、なのはの紫の瞳をじっと見て、

「僕は――ユーノ・スクライアは、高町なのはに、一生を、誓います」

「……ぁ…」
 なのはの瞳にうつる真剣に告げるユーノの顔。
「……ね」
 そして、ゆっくりと首をかしげて微笑む。
 その瞬間、次には「さっすがユーノ!気障だねぇ!」「あ、アルフっ」とかなんとか言葉がとんでくる。
 後ろからそんな言葉がとんできてなのはは真っ赤になりながら苦笑してしまう。
 そんな雰囲気に、二人の目の前にいる神父は何度か咳ばらいをした後、なのはに視線を送る。
「えーっと……高町なのは、あなたは、誓いますか?」
 その言葉に、なのははちらりとユーノをみて。

「はい……ユーノ君に、誓います」

 そして、
「では……誓いのキスを」

 二人はゆっくり、そして優しく唇を触れ合わせた。


 そして赤い道を渡り、二人は教会からでると。
「わぁ……」
 まるで二人を祝福するかのような、満天の、青空。
「なのはー!」
「なのはちゃーん!」
 と、外でまっていたのは、大切な親友や家族達。
「みんなっ、きゃっ!?」
 なのはも笑顔で返事をしようとして――ユーノに、抱きあげられた。
「なのは」
「ユーノ君……っ」
 優しい目と目が、絡みあう。
「もう!なのはー!ユーノ!いちゃつくのはいいけど、はやくブーケトスしちゃいなさいよー!」
 そのアリサの声に二人は真っ赤になって――微笑みあった。
「よーし!じゃあ、投げるよー!」

「そぉーれっ!!」

 その言葉とともに、青空に一つのブーケが飛んでいく。フェイトやはやて達はその幸せのブーケをとろうとそちらに視線と体がむく。とろとしない人達も誰かとるのか気になるようでそちらに視線を向けていた。
 つまり、今だけ視線は主役にはむいていず。
「……なのは」
「何?ユーノ君」
「なのはは何人、子供がほしい?」
「――えっ!?」
 抱えられたまま驚いて固まってしまう。
 それから、何秒かたった後。
「ユーノ君が一緒なら……何人でもいい……」
 真っ赤になって、ユーノの瞳をみつめる。そんななのはがかわいくて。
「なのは……これからも、一緒だよ」
「……うん!」
 抱きあげて、くちづけた。


* * *



 ――あれから二年後。
「なのはママー?この写真何ー?なのはママが綺麗なドレス着て、ユーノパパと一緒にいるー」
「ヴィ、ヴィヴィオ!み、みちゃだめー!?」
「あれー?なのはママ顔真っ赤ー」
「はは、ヴィヴィオは」
 大切で大好きな子供が一人、家族になりました。





〜あとがき〜
 ふぅ……と。やっとかき終わりました。
 今回のリクエストはケイトさんからでした。
・リクエスト内容
『ユーなのの結婚式をお願いします(難しいですけどお願いします)
出来れば、過去捏造で17ぐらいで結婚するという設定で当然の如く、超激甘でお願いします』
 超激甘なユーなのになりましたか……?今回は結構なのはさんが乙女でしたが……。少し心配です。
 そして短編小説なはずなのに、12KB。ニケタまでいくのははじめです。本当に。
 今回は長くなったのと時間の狭間で追い詰められてしまいましたが、ユーなのの、幸せな結婚式がイメージしてもらえれば幸福です。
 ケイトさん、リクエストありがとうございました!





(Back Text)




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