「……ん、っ……」
 彼の舌が自分の舌を絡めとり、二つの唇の真ん中で絡めあう。
 それは数秒で終了し――ティアナにはそれが数秒には思えなかったが――ヴァイスはティアナの瞳を真剣に見ていた。
 いつの間にかティアナは下半身をこたつから出され、ヴァイスに押し倒されているかのよう。
「……な、に…するんですかっ!?」
 慌てて声をあげるが、ヴァイスは飄々と、だが真剣な顔でかわした。
「あ、えっとなティアナ。これも、隊長達の世界の文化なんだけど」
「……はい?」
「新年を迎えるときは、愛する者同士キスするんだってさ。来年も共にいられたら、って」
「………ぁ……」
 それっていろいろ回りくどいがプロポーズなのだが、純粋で今の状態の彼女はそれすら気付けなくて。突っぱねることも、何かを言うこともできなくて。
 ……でも、うれしくて。
「………はいっ」
 笑顔で頷くと、ヴァイスは顔を下ろし、二人はもう一度唇を重ねた。

 来年も、共にいられますように――……と。


* * *



「……やけに静かだなぁ。何してるんだろう、ティアさんとお兄ちゃん」
 一方、テレビの前で――もちろん電気を付けて離れたソファーで――例の歌番組を見ているラグナは、隣の先程まで二人の会話が聞こえた部屋に目線を移した。
「まさか私がこっちだからってキスとか……ないよなぁ」
 考察してみるものの、やはり答えは出ず首をひねり、見てこようと立ち上がろうとした。
 そのとき。
「……あ、おーちゃん達だ!」
 画面の向こうで歓声とともに男性グループが登場。
「わぁ、にぃもまつもさっくんもあいちゃんもスーツだ。すごいなぁ……」
 そして、ステージへあがり曲が流れはじめる。親友から借りて聞いていたことがあったので、一緒に歌えた。
「――信じている ただ信じてる 同じ時間を刻む人へ――……」
 そこで、ふと歌うのを止めた。しばらく考え、そして、笑顔が漏れる。
「……この歌詞のように、ティアさんとお兄ちゃんが、ずっと同じ時間を……一緒にいられるといいな」
 もちろん、私もそこにいれたら……もっと、いい。
 メロディはまだ続いている。ラグナは歌う。テレビの向こうの彼らとともに。
 来年の……未来の幸せをずっとずっと願って。

――百年先も 愛を誓うよ 君は僕の全てさ
愛している ただ愛してる 同じ明日約束しよう
世界中に ただ一人だけ 僕は君を選んだ
君といれば どんな未来も ずっと輝いているから――



 彼と彼女らの来年に、未来に、お互いの存在という幸せが永久にあることを――。


 ――A HAPPY NEW YEAR!!
 皆さんの来年にも、たくさんの幸せがありますように……。





〜あとがき〜
 今回はキリ番44708を取ってくださったケンジットさんからのリクエストでした!
『44708踏みました
俺もヴァイティア好きなので、遅くなるのを覚悟してリクしますが、このCPでクリスマスかお正月の小説お願いしますm(_ _)m』
 期間限定(しかも馬鹿してクリスマスを逃した)のリクエストでしたから急ピッチに書きあげた&最近全く書いてなかったので低クオリティになってしまいました……ごめんなさい!
 ついでに言えば、新年にキスするのはアメリカです。地球はなのはさん達の星ですが、アメリカの文化なのでなのはさん達とはあんまり関係がないという(笑)
 そして某あざらし(ざを抜いてください(笑))をかなりモザイクかけて入れてみました。今年紅白初出場だし若い女の子のファン多いからラグナと組み合わせることができまして(ラグナはそこまで好きそうなイメージはないけど親友にファン一人くらいは絶対いるだろうと)。歌はわんらぶ(あえて変換しません(笑))。メドレーで何歌うかわからないから私の好きな曲を抜擢。おーちゃんはリーダーです。後輩がおーちゃん言ってて。他メンバーは自作ニックネームです。なんとなーくわかるかなくらいにしてみました。
 でもぶいろくを出す前にあざらしを使ってしまいました……むぅ。けどぶいろくではいっぱいやりたいことあるのでそちらでまたやります!
 ……ということで、ケンジットさんキリ番ゲット&リクエストありがとうございました!以上、久々なのにあとがきが長い沙雪でした(笑)。





(Back Text)




【Short Storys】
Back



 
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -