「僕らが相手に告白したときの話をすればいいじゃない?」
「は!?」
「うぇ!?」
「え?」
 エリオが普通にユーノから視線を外す、と。……先程まで目線をあわせていた二つの、いつもより明らかに赤色の、
「え、何、クロノもヴァイス陸曹も。別にいいじゃないか、話して減るもんじゃないし」
「いや、減りますしある意味増えます!」
「エリオも、聞いてみたいんじゃないの?年上の恋愛とか」
 あなたとなのはさんのラブラブオーラが増えるでしょうがっ、というヴァイスの心の叫びもユーノは無視し、エリオには届かず。
 エリオは大きく頷いた。
 その表情の豊かさに満足そうにユーノは笑って、年下の頼みだもんね、と周りを置いて一人頷く。
「じゃあ、僕から話そ、」
「まっ、待った!」
 やんわりとした声に飛びこむヴァイス。首を傾げたユーノにヴァイスは強い視線を送りながら声を発する。
「くっ…………クロノ提督はどうだったッスか?」
「なんで僕が、…………わかった、」
 お互いに長い沈黙を作りあう二人。理由は、裏で『頼みますよ提督!』『嫌だ。僕はこのテの話は苦手なんだよ』『じゃあ初っ端から司書長でいいんスか!?』『……』という念話があったから。
「……僕は、…………僕からの告白だった」
「え、奥さんからじゃないんスか?」
「うん、びっくりだよね、エイミィさんからじゃなくてクロノからだなんて」
「ユーノっ」
 ヴァイスの捻った首にユーノが相槌を打つとクロノが珍しく焦りを見せ、だがエリオの手前、一息ついて再びいつもの調子に戻す。
「……まだ提督じゃない頃にな、ある事件があって、それがきっかけで」
「まぁエイミィさんずっとクロノからの言葉、待ってたからね。やっとこの鈍感も気付いたかって。けど、告白された後のエイミィさん、すっごくうれしそうだったな。そうそう、たしか、」
「あぁあ、うるさい!ユーノっ!」
 ガタンッ、とテーブルが音をたてる。明らかに取り乱したが、クロノは咳をこんでユーノをきっと見る。
「むしろユーノ、おまえとなのはが出会ったときからすごいだけだろ」
 若干林檎色の鼻を触りながら視線を集中させる。
 ユーノはそれに別に気にしてないよオーラを平然と出して。
「そうじゃないよ。たしかに、なのはが小学生卒業したときに彼女から、大好き、って告白されたけど」
「ストレートですね、なのはさん」
「でも、そのときはまだ若かったからね。まだ友情と恋との間――プラトニックを感じてたかな」
「あぁ……」
「エリオも、そんな感じだろ」
 首を少し傾け、ニィと笑ったヴァイスにエリオは顔を柔らかくして、小さく頷く。
 と、じゃあ、と頷き上がった顔をまっすぐにぶつけた。
「ヴァイスさんは、どうでしたか?」
「あ゙?……あ〜……」
 苦い声を思わず零したヴァイス。目をそらしかけ、エリオの純粋な視線にぶつかり、固まった。
「ああ、駄目だよ。エリオ。こう見えてもヴァイス純情だから」
「え゙、」
「ユーノさん?」
 首を傾げるエリオに、再び固まるヴァイス。でもユーノはさらりと。
「だって前ね、ティアナに想いを伝えるべきか悩んで無限書庫まで来たことあるんだよ」
 びっくりしたよ。なんたってけっこう女性関連の噂が多いほうだったでしょ?けど、ティアナが初恋で、どうしたらいいかわかんないってさ。
「……そうなんですか?ヴァイスさん」
 ユーノからヴァイスに目線を変えると、あったのは机に突っ伏したヴァイスの頭。そして隙間からかいま見える頬の赤と、「……聞くな」という小言。
「……まぁさ、」
 その声とともにヴァイスの肩にクロノの手がのせられる。
「ヴァイスにしてもエリオにしても……大切なのは彼女をどう思っているか、だろう?」
 まるでため息をこめたような言葉。それに反応してヴァイスの頭が持ち上がった。
「……そうッスね。……その、あー、気持ちを伝えるってちょいと難しいけど、お互いにある絆が消えることはないし」
「なおさらずっと兄弟みたいに過ごしてきたなら、な」
 実際に経験したことのあるヴァイスとクロノの言葉に、エリオは何か自分の心の中に芽生えたものを感じた。
 そのエリオの心情をまるでユーノは感じとったように、笑って。
「“い”ってきなよ。エリオ。大丈夫だから」
「――はい!」
 そして、今日一番元気な声と感謝の言葉を残して、少年は駆け出した。
 ――“行”こう。“言”おう。
 ――――彼女へ。



Mix Talks




「……しかしユーノ、さすがにあの話はまずかったんじゃないか?」
「え?なんで」
「あれは子供が知ることじゃないし、ましてやることじゃない」
「そう?だから、恋愛に年齢は関係ないよ」
「……ツッコむとこ違うと思うんスけど……」
「あ、ヴァイス陸曹。顔真っ赤だけど大丈夫?」
「誰のせいッスかっ!!……はぁ、エリオにまで知られた……」
「……お疲れ、ヴァイス」
「…………そちらこそ」






〜あとがき〜
 リクエストはケイトさんからでした。
 以下ケイトさんのリクエスト内容です。ちょっとこちらでは編集しましたが内容は届いてます。
「良い感じにユーなのに毒されたエリキャロもしくは、男女に分かれてパートナー談義を。パートナー談義の方は男性側がユーノ、クロノ、エリオ、ヴァイスで女性側がなのは、エイミィ、キャロ、ティアナで2ページに分かれてても1ページにまとめてあってもどっちでも良いからそんな感じのを頼みます。エリキャロの方は指定無し毒されてればそれでOKです」
 欲張って両方入れたら爆発しました← 女性側までは難しかった……。次には書きたいです!
 でも、そういやLOVEなエリキャロ書いてなかったな、今まで……(エリキャロ→彼岸花2連作のみ)すみません、ヴァイティアばっかでごめんなさい(笑)
 エリキャロはお互い大切な存在なんだけど、人生経験の短かさと戸惑いに揺れている、でも確かにお互い想いあってる……みたいなイメージがありみす。そんな小さな背中を支えているのが、大人組やお兄さんお姉さん位置の人達だったらいいな、とか。それが私のエリキャロ、かな。
 私情が少々入りましたが、ケイトさんリクエストありがとうございました!遅くなってすみませんっ。





(Back Text)





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