1の続き

 親からの連絡を待ちながら、私は自分の携帯のワンセグでTVをつけていました。周りの人達の機能にはなかったらしく、数人の生徒や先生と見ていました。報道されていた初めて内容は、想像以上のものでした。津波に流されていく街。都内を埋める帰宅困難者(帰宅困難者には私の父もいるのではないか、という思いがありました)。画面の枠を囲むニュースや津波警報の日本地図が、私の気持ちを混乱の渦に突き落としていました。
 電車通勤の現代文の女性先生が後ろから「電車はまだ動いてない?」と聞いてきてきました。私は首を振り、先生はがっくり椅子になだれました。その時隣にいた昨年担任だった男性先生が「もしよろしければ車で(学校の最寄駅)まで送りますよー」なんて言い、思わず生徒が「えぇー先生ひどいですよー!」と返して笑いました。冗談を利かせた先生、帰りに不安を感じる先生。その笑いは爆笑、ではなかったことを思い出します。
 また、友達が私の隣で弱々しく「青森に親戚がいるんだ」と呟いたことを覚えています。私は彼女の顔を覗きこんで「大丈夫だよ、無事だよ」と、私も東北に親戚がいたので、自分にも言い聞かせながら何か明るい話題を探していた記憶が残っています。
 と、夜になったとき、私と同じ出身校の友達の親が迎えに来ました。私とその子は「どっちかの車が来たらそれに乗って帰ろう、じゃなきゃ二人まとめて野宿だ((苦)笑)」と言ってずっと一緒にいたのですが、無事、その子の車に乗せてもらえることになり、帰路を見出だせました。後二人、クラスメイトの女の子が残っていたけど、無事その後帰れたようでした。
 車の間、友達の母親からいろんな話を聞きました。帰宅したらぐちゃぐちゃだったこと、周りの家も被害が目で見えたこと。私も車の窓からいつもより明かりの少ない道路で家から落ちた瓦や破損したものを見ていました。
 帰路の途中で寄ったコンビニはその時にはもう内装は片付いていましたが、食べ物などほとんどがなく中身はほぼカラッポでした。これが現実なんだな、とぼんやり考えていました。(学校を出たのが既に19時を過ぎていたため、そのコンビニでは私と友達にいくつかのお菓子を買ってくださりました。最初、食欲があまりなく手をつけられなかったのですが、友達や友達の母と話すうちに、食べられるようになっていました)
 もう少しで帰れる、というときに、私の携帯が鳴りました。私の母からの電話でした。慌てて出ると、母の声が聞けました。今まで仕事で家に今帰ったところだということ、そして「迎えに行くよ」と。私は笑って頷きました。最後「お腹すいた!あ、兄カキフライ食べてないよね!?」「食べてないよ(笑)」「絶対に残しとけって言っといてね!」そう馬鹿言って切りました。隣から「(多分、繋がって)よかったね」と言われ、私は頷き「カキフライの因縁は深いからね」。母子両方に笑われました(実は本当にぼけていた)。
 そして、21時。やっと家に帰ってこれました。



2【私の周りの被害】
 体験と情報の記録。

 私のいた場所の震度は正直、すぐに情報を得なかったので正しいかわからないのですが、恐らく震度6弱(最低でも震度5強)でした。
 一様学校は大きな損傷はありませんでしたが、電球の電気がいくつかプッツリ切れたり、水が止まったり、天井から雨漏りしたり、中には外にあるコンクリートの階段の段差のところにヒビが入ったりはじが崩れていたりしました。また、校舎にいた友達によるとテレビが倒れたそうです。
 それでも、誰も怪我はしませんでした。
 また、私の家族、祖母やいとこ、数人の友達ともお互いの安否確認が出来ました。私の父親は最終的に電車が動かず、都内の仕事場で一夜を過ごしたそうです。食べ物屋のほとんどが震災後すぐに閉めてしまい、たいへんだったということを次の日に聞きました。
 震度的に家≦学校だったらしいので、学校の被害よりは少なかったようで、何よりでした。



1.5【エスピーとナイト】
 確かに護りたいと思った。

 地震後に、地震当初女の子に覆いかぶさって守ろうとしたことにから、数人の友達から「エスピー!エスピー!」となぜか言われました(笑)
 当時は必死すぎてそんなこと考えずあの行動をしたのですが。言われたとき、いつもかっこ悪い私がそんなことしたんだな、って。なんだか少しこそばゆく、また私にもそんなことが出来るんだな、と思えました。
 また、「大きい地震のとき思わずM(友達)の腕にしがみついちゃったよ(笑)」と避難中もう一人の友達が言って、Mに「じゃあMはT(もう一人の友達)のナイト(騎士)だ、ナイト!」と言いあいました(爆)。
 でも、冗談を言えるのは余裕があるということ。友達同士だから、“冗談”という安心感が出来たんですよね。



3【明日が聴こえる】

 ※最後にあくまで自分の経験と、自分の周りの状況しか載せません。偽善者にもなりたくないですし、それは文章にするべきではないと思いますので。

 それでも。
 明日へ。歩いていきたいです、みんなで。今日を信じて。
 ……明日へ。





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