よくある、話
「で?何で遅れたのさ。」
「だ、だからごめんって!」
「僕は理由を聞いてるんだよ。…別に問い詰めたいわけじゃないよ。」
といいつつも、梓君はとってもご立腹のようで。
いや、遅れた私も悪かったよ?
でもね、折角の梓君とのデートだから気合を入れたわけだよ!
そしたら中々服が決まらないし、決まった瞬間の時間を見て焦って出てきたはいいけどお財布忘れるし…。
更に鍵を閉め忘れてしまったりで、色々、ね!
だけどあまりに楽しみにしすぎてて子どもみたい、って思っちゃって、言い出せずじまい。
「…はぁ、そんなに言えないことなわけ?」
「…う、その…」
「他の誰かに会ってきたり?」
「そ、そうじゃないよ!」
「って勘ぐっちゃうんだから、早く理由をいいなよ。」
盛大な溜め息を吐き、呆れ顔で私をみる梓君。
…疑われるのが一番悲しい、し…うぅ、仕方ない。
「…あの、ね。昨日も考えてたんだけど、洋服が中々決まらなくて…で、ようやく今日決まって、ふと時計を見たら時間がギリギリで。
急いで出たんだけど、お財布を忘れちゃって…。更に戻ってお財布持ったはいいんだけど鍵を閉め忘れちゃって…。」
それで、遅れたの。そういえば、梓君はさらに深い溜め息を吐いた。
呆れたかな…元々子どもっぽくてからかわれるし、あんまり良い顔しないからなぁ。
「…ほんっと、暦は子どもだよね。色々。」
「うぅ…」
「でも、僕の為にしてくれてるんだから、それは嬉しいよ。」
「うん…え?」
「楽しみにしててくれてたってことでしょ?なら、いいよ。ほらいくよ暦。」
そういって梓君は私の手を取って歩き出す。
あ、れ?
「どうしたの?それとも遅れたことを多大に怒って欲しい?」
「そ、そんなことはないけど!」
「…何かあったんじゃないかって思ったけど、それは杞憂だったしね。理由も可愛かったから、仕方ないから許すよ。」
「…梓君…!」
「さ、予定よりは遅れたけど行こう。勿論、奢ってくれるんだよね?」
「うっ…まぁ、遅れちゃったし、いいよ!」
「冗談、奢らせるわけ無いでしょ。でも、気にしてるみたいだから…」
私が一人でアワアワしてると、梓君は握ってる私の手を引っ張る。
その勢いで、私は前につんのめってしまい梓君にぶつかる。
されるがまま、ギュッと抱き締められた上にリップ音が私の耳に響く。
ハッと気づけば、目の前には梓君の顔。
「…!?」
「これでチャラ。行こう、暦。」
「…え、あ、ちょっと待って!」
梓君はさっさと行ってしまうので、私も慌てて追いかける。
…なんか、なぁ。
「(自惚れても、大丈夫ってことで…いいんだよね?)」
梓君も楽しみにしててくれて、こうしてからかうんでなく心配してくれてる。
…幸せだなぁ。
「…でも、昨日も迷ってたんでしょ?なんで今日になって迷うのさ。」
「…翼君が、“梓は割と青が好きなのだー!”って電話してくれて…その時着ようと思ってたのが赤系だったから、さらに迷っちゃって。」
「なるほどね。教えてくれてありがとう暦。翼は後で僕がきっちりとシメておくから。
あと、僕は特に色に対してのこだわりはないから…暦の好きな色をつけてよ。僕はその方がいいな。」
「う、うん!分かった!(…翼君、何かごめんなさい!)」
End
イメージとしては何でか青が好きそうなイメージ。
相変わらず内容が薄くて申し訳ない(´д`)
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