おはよう。
「スコール!」
「…何だ。」
「おはよう!」
突然挨拶されたスコールはしばし呆然としていた。
「…何で…アンタは…」
「アンタじゃないー!セリアって名前、あるんだから!」
「…。」
朝は特に弱く不機嫌なスコールにとっては、この上なく不快。
大声なんてあげられようものなら、愛用のガンブレードで斬りつけられる。
それを知っているのかそうでないのか、スコールよりはるか小さい少女、セリアは大声で「スコール」と呼ぶ。
つまり、今のスコールの気分は。
「(何でいつもいつも大声で呼ぶんだ。他の皆も見ている。俺が朝弱い事を知っててやってるのか?だったら今すぐ…)」
「スコール、朝はちゃんと挨拶、しなきゃ駄目だよ?」
「…あぁ。」
「じゃあ、おはよう、スコール!」
スコールの気分は今、最高潮に悪い。
腰につけているガンブレードを抜こうとするスコール。
と、セリアはそれを止めるかのように手を前に突き出した。
「いくら同じSeedでスコールの方が強いといってもね、丸腰にそれはないんじゃない?」
「…悪かったな。」
「別に悪いとは言ってないよ。ただ丸腰には拳で、って事!」
「(…何か言葉がおかしいぞ。というか、何でセリアは俺に構うんだ。)」
「さて、スコール。挨拶は?」
「…。おはよう、セリア。」
「うん、おはようスコール!」
セリアは笑顔でスコールに答える。
思わず、スコールは目を背けた。
「(…俺が惚れてるのは、知らないんだろうな…)」
そう、スコールは彼女が、セリアが、好きなのだ。
周りからはそう見えなくとも、本人に気付かれることがなくとも。
必要以上にぶっきらぼうなのも、口に出すと照れてしまいそうだから。
行動を起こさないのは、内にある想いが弾け飛んでひどい目にあわせそうだから。
…つまり、スコールは今、自分と戦っているのだ。
セリアの些細な行動ですら、スコールはそれに欲情しているのだ。
…軽く、変態ではあるが。
それでもセリアへの想いは、本物だ。
「スコール、今日は休み?」
「…あぁ。」
「じゃあさ、訓練、付き合ってよ!」
「…十分、強いと想うが。」
「いーでしょ、ね?私もガンブレード、スコールもガンブレード。戦うには…訓練するには十分!」
「…分かったから、腕を掴むな。」
「ごめん、ごめん。じゃ、行こ!」
「あぁ。」
スコールは流されるようにして、セリアの訓練に付き合った。
やはり女性でガンブレードを扱うだけあって、強い。
何より、同じSeedとして動いていたから強さがひしひしと感じる。
「やぁっ!!」
「…まだまだだな。」
「…うわっ!?」
飛び掛ってきたセリアを軽く流し、スコールはその隙を狙って首にガンブレードを向ける。
スコールの勝ちだ。
「…やっぱりスコールにはかなわないなぁ。」
「そんな事ないさ。日に日に強くなっている。」
「本当!?」
「あぁ。俺もうかうかしていられない程にな。」
「やったぁ!いつも訓練してるおかげだね!」
「(…そんなに訓練をしてるのか。)」
セリアは、暇さえあれば訓練をしている。
むしろ、もう日課と言っても過言ではない。
最近ではSeedとしての仕事が入らないらしく、いつもここにいた。
「…セリア。」
「何ー?」
「訓練、俺が暇な時は…付き合ってやる。」
「本当!?じゃあその時にお願いするね!…っていうと、いつも頼みそうだけど。」
「…構わないさ。」
「いいの!?本当に毎日のように行っちゃうよ!?」
「良いと言っている。」
「うん、分かったぁ!じゃあ、また明日、スコールの部屋に行くね!」
「…何時頃だ?午前中はいるが午後はいない。」
「じゃあ朝9時に行く!」
「…分かった、空けておく。」
「ありがとっスコール!」
セリアは笑顔でお礼を言った。
…スコールの頬が赤くなったのも、ほぼ同時だった。
「あ、スコール。」
「…何だ?」
「明日はちゃんと、挨拶してね!」
「…あぁ、分かった。」
「うん、じゃあまた明日!」
「あぁ、また明日な。」
スコールはセリアが手を振るので振り返す。
「(…惚れた弱み、か。)」
赤くなった頬をどうするべきか。
おさまるどころか、さらに赤くなる。
この顔を誰にも見られるわけにはいかないので、スコールは足早に自分の部屋へ向かった。
―――セリアとの約束に、嬉しそうな顔をしながら。
おまけ。
「スコール〜!」
「…何だ、セルフィ…に、アーヴァイン、ゼル。」
「見ちゃったよ〜♪やけに顔、真っ赤だったねぇ〜♪」
「…何の事だ。」
「とぼけても無駄だよスコール!」
「俺達は見たんだぜ!スコールの顔が真っ赤だったところ!」
「…。」
「わーっ!!スコール、ガンブレードは出さないで!」
「はんちょっそれはだめぇ〜!!」
「おわっスコール、本気かよ!?」
「…。覚悟は、いいか。」
「「「ひぃーーーーー!!??」」」
ちゃっかり覗き見していた3人だった。
END
あとがき
テニス更新してないくせにこれですいません。
しかもZにはまってるとか言ってて[書いててすいません。
…全ては愛が!!(黙れ)
PCサイトより移行。
当時はテニヌもやっておりましたが…アレは完全に封印です。黒歴史。
お題はtrash様よりお借りいたしました。
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