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瞳の中の悲しさと辛さ





※死ネタ。















本物の貴方は、どこにいるの…?

私、貴方の姿が…見たい。


「セリア。」

「クラウド?どうしたの、こんなところで。」

「それはこっちの台詞だ。…お前は、どうするんだ?」

「…。セフィロス、のこと?」

「あぁ。」


私とセフィロスは、俗にいう…恋人同士、だった。

私からではなく、あのセフィロスから、だ。

その時は凄く嬉しくて…涙も流した。

嬉しくて、嬉しくて…任務が一緒だった時は、背中も預けられて。

とにかく、私とセフィロスは…愛し合って、いた。


それが、5年前のニブルヘイムであの事件が起きた時。

正直言って、信じられなかった。

あのセフィロスが…ザックスが…クラウドが。

報告をされた時は、本当に悔しかった。

絶対、嘘だと、思った。

神羅が流す情報に真実はない。あるのは偽りだけだ。


そして、神羅で働いていれば66階から上の人々が殺されていて。

後姿の、セフィロスを見た。

ふと、こちらを振り向いた時は本当にセフィロスだ、と思って駆け寄ろうとした。

だけど…セフィロスは、セフィロスじゃなかった。

悲しさ、辛さ。そんな感情も、一切なかった。

ただ、魂の抜けた…空っぽの、人形だった。


それからはクラウド達と出会い、こうして今に至る。

竜巻の迷宮を抜けて、ジェノバを倒して…これから、セフィロスに会いに行く。

本物のセフィロスが、ここに、いる。

そう思うと、震えが止まらなかった。


「…もちろん、行かせてもらうよ。私…セフィロスが生きてるって、信じてるから。」

「そうか。じゃあ、行こう。」

「えぇ。もう、出発?」

「あぁ、ティファももう準備は終わっている。」

「…ごめん、待たせちゃったのね。」

「いいよ、セリアも…大変だったな。」

「全然!さぁ、行こう!」


黒マテリアは、バレットに預けて。

そして、目と鼻の先にはもう…セフィロスが、いる。

ドクン、と大きく脈打つ心臓。

会える…貴方に、会える。


「…うわっ!?」

「きゃっ!?」

「っ…!?」


辺りが、白で包まれる。

クラウドも、ティファも、いない。

ただ、視界には白が広がっている。


「…ここは…」

「セリア。」

「っ…!?この、声は…」

「俺を、忘れたか?」

「忘れるわけ、ないじゃない!セフィロスっ…!!」


段々と黒に染まっていく景色。

その先には、貴方が…セフィロスが、いた。

思わず、嬉しくてそっちに駆け寄っていく。

後ろから、黒い背景が迫ってくるとは知らずに。


「会いたかった…!死んだって聞いて、私は絶対嘘だって思った。」

「…俺も、会いたかった。セリア…俺の、セリア…。」


抱きしめてくれるセフィロスの体温が心地良くて、目をつぶる。

本当に、セフィロスなんだ…。やっぱり、生きてたんだ…!!


「セリア…俺は…もう、自我を保てなくなる。」

「…え…?」


いきなり言われた言葉に驚いて、顔をあげる。

その瞳からは、悲しさと辛さが伝わってくる。

何故?自我が保てなくなるって、どういうこと…?


「俺は…もう、後戻りは出来ない。」

「セフィロス…?」

「だから、セリア。俺と共に…この星を…かあさんと、一緒に…」

「セ、セフィロス…?何を、言ってる、の…?」

「私と共に…来てくれ。そして、世界の支配者になろう。」

「セフィロス!?…っ…!?」


スッとまるで隙間に何かを入れるように、物音がしなかった。

私のお腹に、何かが刺さっている。

見なくても、分かる。

これは…セフィロスの愛刀、正宗だ。

ポタリ、ポタリと滴る鮮血。

力が、抜けていく。


ふと、セフィロスを見る。

その顔は…何も、感じられない。

さっきのような辛さや悲しさが…伝わってこない。

あるのは憎悪。誰も、映していない。

…いや、私だけを、映している。


「セリア…俺のセリア。行こう…共に、この世界を…君臨しよう。」

「っ…はっ…セフィ、ロ、ス…?」

「大丈夫。俺は…いつも傍にいるさ。これで、セリアは一生、俺のモノだ…」

「セフィロス…っ…」


目が、霞む。

そのまま、徐々に私の意識はなくなっていく。

セフィロス…あえて、よかった…。

だけど、私には貴方が救えなかったのが唯一の心残り。

ねぇ、セフィロス…貴方は…なんで、そんなに悲しそうな瞳をするの?


思考がまとまらない。

荒くなる息に、心までもが痛い。

刺されたことには何も感じなかったけど、今になって痛くなり始めた。


「セリア…。俺は、必ず叶えてみせる。誓う。」

「…何、を…?」

「世界を、セリアと共に支配することを。この、唇に。」


まるで結婚式かのように、慈しむような目でみるセフィロス。

…あぁ、私も…やっぱり、狂っているのかしら。

こんなにされても、私は…セフィロスの事が、好き。

そのまま、抵抗なんてするはずもなくキスを受ける。


「…しばらく、眠っていてくれ。俺はもう一仕事ある。」

「…うん。」


トサッと優しく降ろされた所は意外にもふわりとしていて。

そこから、私の意識はブラックアウトした。


私、やっぱり貴方のその悲しさと辛さを重ねた瞳が気になるの。

どんな理由でそんな風になったのかは、私にも分からない。

だけど、これだけはいえるよ。

私は…貴方を、愛してる。

ただ、それだけは覚えていて。セフィロス。

貴方がどんなに狂っていても…。

私は、貴方だけを思っているから。

だから…壊れないで。

救い出せないけれど、せめて…壊れないで。


「愛してる…セフィロ、ス…」


遠くで呟いた言葉は、どこにも流れることなく、消えた。



End…?

あとがき。


死ネタっぽい。いや死ネタなんですけど。
うーん…不完全燃焼…。
セフィの旦那は難しいなぁ。
多分本編沿いじゃなくてその前の話の方が書きやすいんだなきっと。
っていうかクラウドたちを出した意味はあるのか…。
…。ないですね。すいません。あっはっは…(乾笑)

PCサイトより移行。
死ネタもこの時は凄く好きだったんだよなーバトロワの影響で。

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