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涙を流す暇なんてない





※死ネタ。ヒロインが死んでしまいます。















いつかこんな事があるってこと、分かってた。

だけど、涙を流さずにはいられないんだ。


「セリアっ!どこだセリア!!」


俺たち…セリアと、俺と、旦那は戦場であるウータイに来ていた。

無論、ウータイを鎮圧させるためだ。

…もちろん、本当ならここにソルジャー1stがいる事自体おかしい。

だけど命令(あの役立たずなハイデッカー…と、社長か。ウゼー。)は絶対。

俺とセリアと旦那は渋々、ここに赴いた。

だけど予想以上の状況に俺達は驚いた。

俺たち…神羅軍が、明らかに押されている。

ここまで強かったのか。

旦那はすぐさま切り込みに行っちまって俺達は仕方なく、近辺の状況を把握することにした。


…そこで、トラブルが起きた。

ここにはいるはずのない、凶悪なモンスターが俺たちに向かってきやがった。

すかさずセリアはそいつに切り込んで、「先に行って!」と言った。


もちろん、最初は拒否した。

俺達は恋人。

私情は挟むつもりはないけど、やっぱり心配は心配だし。

そしたら「早く!」とせかされて…これもまた仕方なく、走って近辺の調査をした。

早く、セリアのところに行けるように。


その調査を行った後、セリアのところに戻った。

だけど、そこにはセリアがいない。

そして冒頭に至るわけなんだけど…。

はっきりいって、本当にどこに行ったのかが分からない。

崖から落ちて助からないような場所じゃないけど、もしかしたら落ちたかもしれない。

けど、そんなヘマをする程セリアは抜けてない。

考えられるのは…。


「いやいや、それは考えねぇ。…くそっセリアっ!!どこだ!!いたら返事しろ!!」


辺りを見回して、再度叫ぶ。

人の影はたくさんあっても、セリアの姿は見えない。

ご丁寧にも、俺を殺す気のようだ。

…一般人が俺にやれるかっての。


「…チッ。仕方ねぇ。こいつら先に片付けるか…。」


マテリアを使うのは慣れてない(っていうか苦手だ)から、俺は大抵武器である大剣バスターソードで戦う。

すぐに…終わる、だろう。


案の定、ものの5分経たない程度に終わった。


「…ふぅ。」

「ザックス。」

「旦那?…セリア、見なかったか!?」

「いや…。俺も、今探している。すぐ横でセリアが行方不明になったからな。一応ある程度の鎮圧は終了した。…いくぞ。」

「あぁ!」


さすが旦那。片付けるのが早い。

…っとと、喋ってる場合じゃねぇ。

セリア…どこにいるんだ…!!


「く…ぅ…」

「セリア!?」

「…どうした。どこのどいつにやられた。」

「…ちょっと、しくった。ここじゃいないはず、の、モンスタ、に…。」

「セリア、もういい。報告は後だ。…ザックス。」

「あぁ、分かってるよ。…旦那も大変だな。」

「お前ほどではない。…セリアを絶対に死なせるなよ。」

「りょーかい。…セリア、今ヘリで本社に帰るからな。」

「…っ…」


苦しそうに、だけどしっかりした頷き。

…このままじゃ本当に死んじまう…!!

それだけは…それだけは、絶対阻止だ!!


「…っ…クス…」

「セリア…?」

「…めん、も…む…り…」

「諦めんな!!俺が、必ず…連れて帰るから…!!」

「…りがと…あ…してるよ…ザ、ックス…。」

「これで終わりだとか言うような言葉はやめてくれ!!」

「…………」


パタリ、と力なく手が垂れる。

…おい、セリア?

嘘だろ?なぁ、嘘だろ?

少し死んだフリしようったって騙されねぇぞ?

…なぁ、目、あけてくれよ…!!


「セリアっ…!?おいっセリア!!!!」

「ザックス、如何した…!?」

「セリアっ!!おいっ!!嘘だろ!?なぁ、目、開けてくれよ!!」


やめてくれ、そんな現実なんかいらねぇ!!

ありがとうって、何だよ!!

なぁ…セリア、早く起きてくれよ。

嘘なんだろ?フリしてるだけだろ?なぁ?

セリア…セリアっ!!


『私ね…ザックスの事、大好きだよ。』

『ね、ザックス…。怖いけどさ、私、貴方の傍にいる。だって、ザックスの傍にいたいんだもん!』

『…ザックス、早く行きなさい!!!!』


走馬灯のような、かといって自分が死ぬわけでもないのに、セリアの言葉が頭を流れていく。

それは、セリアの死を意味しているかのように…。


「セリアーーーーーーーーー!!!!」

「…ザックス。」

「何でだよ!?何でっ何で!!セリアーー!死ぬんじゃねぇよ!俺たちはっ…まだっ…!!」

「行くぞ。まだ後始末が残っている。」

「…セフィロスっ!?」

「勘違いするなよ?俺だって…。だが、ここで残っていてもまだ敵はいるんだ。」

「…っ…悲しむ暇さえ…ないってーのかよ…!!」

「…。今すべきことはなんだ、ザックス。セリアは戻ってはこない。

 だがセリアの命を無駄にしないためにも、早急に終わらせるべきではないのか。」

「…!?」

「凶悪なモンスターが出たのもウータイの奴等からだ。つまり、セリアはウータイの奴等に殺された。

 …俺とて、憎くて仕方ない。」

「…あぁ…憎い。奴等が…憎い…」

「涙を流している暇などない。一掃するぞ、ザックス。」

「…あぁっ…!!」


セフィロスは大人だ。

セリアが死んでも、涙は流さない。情に流されず、的確に仕事をこなす。

俺は…駄目だ。

セリアが死んだ。それだけでもう何もかもが見えなくなる。

事実を認めたくない。

セリア…なぁ、セリア…生きてるんだろ?

いつもみたいに、笑って、俺の名前呼んでくれるんだろ?


そんなことを思っていても事実は事実。

多分セフィロスだって認めたくないはずだ。

…感情は押し殺す事は出来ない。

俺は、その心の底から湧き上がる感情を抑えることは一切せずに敵をなぎ倒した。


「…終わったのか?」

「あぁ。」

「…では、行くか。お前は…辛いかもしれないな、俺がセリアを持って行こう。」

「…いや、俺が持っていく。…俺に、やらせてくれ。」

「いいだろう…。だが、間違ったことはするなよ。」


間違ったことってーのは…一緒になって死ぬ、って事か?

まぁ、多分そうだろうな。

でも、俺もそんなに馬鹿じゃない。

それは、セリアが一番嫌がることだと思うから…。


『私ね…ザックスが先に死んで欲しくない。でも、私の後を追うような死に方もして欲しくない。』


以前、こんな事を言っていたような気がする。

だから、不思議とそんな考えはしなかった。


「…分かってるさ。…じゃ、俺はセリアを…持って、いく。」

「あぁ。頼んだぞ…。」


タタッとかければ、すぐそこにはセリアがいる。

まだ、生きてるかのような…そんな寝顔。

本当に、少し揺らせば起きるんじゃないかと思うほど。

だけど…この目が開くことは、二度とない。


「セリア…ごめんな、待たせちまって。今、ヘリに乗せるからな…。」


駄目だ。

涙がとまらねぇ。

認めたくはないけど、どうやっても涙が止まらない。

ごしごしと涙を拭いても止まる気配はない。


「あーぁ…悪ぃな、涙なんて見せちまって。…。行くか…。」


旦那の言うように、涙を流している暇は、今はない。

セリアの額にキスをして、俺は待っているヘリへと向かった。


End…

あとがき。

死ネタ…。
いや、こういうこともあるんじゃないかな…って思って。
もちろんソルジャーになるんだから、それなりの覚悟ってものがあるんだと思う。
でもなぁ…いや、これはザックスに叫ばしすぎたような気が…;
実際にこんな事になってしまったら相当悲しむでしょうね。
愛してる人が亡くなってしまうんですから。

それにしてもヒロインさん喋らな過ぎ…。
すいませんこれ死ネタなんで許してください…●| ̄|_

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