この痛みは褪せる事はない。
いつまでも、あなたのことが忘れられない。
「…また、来ちゃった。」
伍番街の教会にあった花を摘み、ミッドガルの全景が見下ろせる丘の上にそれを添える。
誰が立てたかは分かるけど…バスターソードが、そこには刺さっていた。
「クラウドも、来たんだね…ここに。」
でも、当たり前か。
クラウドは…彼の最期を、看取った、人だから。
私はその時、何をしていたのだろう…。
クラス、1stで一緒に任務をこなしていて。
でも、今回だけは…彼と、一緒ではなくて。
英雄セフィロスと兵士クラウドと共に、ニブルヘイムへ行った…ザックス。
そこで、一体…何が起きたというのか。
あれから、もう、6年も経つ。
だけど、一向にクラウドがその話を私に教えてはくれなかった。
「…ザックス…あなたは、何を思って、ここで星に還ったの?」
問おうにも答えなど返ってくるはずはなく。
ただ、私の言葉が空に消えた。
「…。あっちでは、エアリスと…一緒に、なれたのかな…。」
叶わぬ願いと知って、私はザックスが好きだった。
最初は、ただ、悲しかった。
『俺、恋人が出来たんだ!!』
今でも、鮮明に思い出せる。
彼の、嬉しそうで、本当に幸せそうな顔を。
悔しかった。悲しかった。
大好きなザックスが、誰かに取られてしまったと思った。
どうしようもない嫉妬心が、私の中で渦巻いた。
それを押し殺すには、まだ幼くて。
必死で、笑顔を作って。
「良かったね」と言い出せるまで、一体何時間経っただろうという気持ちだった。
「…ザックス…。心が、痛いよ。今でも…あなたのこと、忘れられない。あの時は本当に…痛かったよ。」
でも、我侭を言える立場でもないし、恋を邪魔出来る立場でもない。
ひたすら、耐えた。エアリスの事を嬉しそうに話す、ザックスを見るのを。
気付かれないように、握りこぶしで、必死に、涙を流すことを耐えた。
ただ、貴方の幸せを願っていられるほど、大人ではなかったから。
「…セリア?」
「…クラウド。貴方も…来たのね。この地に。」
「あぁ。…あいつが死んだのも…俺の、せいだ。」
「…ううん。きっと、それ言ったらザックス、怒るよ。きっと。」
苦笑い気味に、クラウドに話す。
今の、醜い気持ちを、知られていないだろうか。
知られても構いはしないけど、やっぱり…居づらいものであるから。
「…そう、だな。…セリア、これは…どこから?」
「あぁ、それ?伍番街の…教会の、花。多分、こっちの方が好きかな、って思って。」
「…。セリア。まだ、お前の気持ちに整理はつかないのか?」
言われて、ドキッとした。
突然、何を言うのかと、思った。
まさか、私の気持ちに気付いていたとでもいうの?
「…なんの、こと?」
「誤魔化しても、わかる。アンタの目が、そう言ってる。…後悔、してる。」
「…。クラウドは…なんでいつも…。」
「俺は、アンタが好きだから。」
「…以前も、言われたね。あの人を倒した後に。」
「…返事すらもらえなくて、俺は柄にもなく落ち込んだよ。そのままどこか行方をくらますから…。」
「それは…仕方ないよ。私だって気持ち、落ち着かなかったんだもん。」
あの後…セフィロスを、倒した後。
メテオを食い止めるホーリーと、ライフストリームがメテオを壊し。
ひと時の平和が、訪れた直後。
クラウドに…告白、された。
「好きだ。」たった、一言だった。
驚いた。クラウドが、私の事を想っていてくれたなんてと思った。
だけど、視線が、痛かった。
ザックスと比較すれば薄い蒼の瞳だったけれど、似ても似つかぬ瞳。
幻想を、抱いてしまった。
クラウドの影に、ザックスを、見てしまった。
姿形は全く違うというのに。
私は、それが怖くて…何も言わず、走って、行方をくらました。
誰にも知られぬような、場所へ。
その時何故クラウドが私を追いかけなかったのか。
今になって、理由が分かった気がする。
彼は…わかって、いたのだ。
クラウドの影に、彼を見てしまっていたことを。
「…ザックスを、俺の影に見てたからな。」
「やっぱり、分かってたんだ…。」
「そうじゃなきゃ、あの時全力で追ってた。まだ、あいつがセリアの中にいるって、知ってたから…。」
「…ごめん。私…やっぱり…。」
ザックスが、好き。
今はもう、永遠に叶わぬもの。
だけど、きっぱり諦められない。
いつまでも幻想に駆られている私自身に、少し苛立ちを覚えることだって、ある。
…でも、それでも…ザックスが、私の中で、永遠に居座り続ける。
別に記憶まで無くしたいわけじゃない。
でも…忘れなければ、いつまでも前には、進めない。
「…分かってる、セリア。とりあえず、雨が降ってきそうだ。雨宿りにカームによろう。」
「…。うん。…そうしよっか。いつまでもここにいちゃ、駄目だよね。」
「セリア。」
「ん?」
「…忘れなくてもいい。だけど、ちゃんとここに、想っている奴がいることを、忘れないでくれ。
たとえセリアがザックスを永遠に想っていたとしても、それがセリアなんだからな。」
「…。ありがとう、クラウド…。」
やっぱり、忘れることはできない。
貴方をなくした痛みは、褪せることはない。
今はまだ進めなくても…貴方を想っていても…。
私は、許されますか?
「さぁ、行こう。俺のバイクに乗れ。」
「…うん。」
いつまでも心の中の痛みは褪せぬまま、またこの地に来るだろう。
それでも、あなたは許してくれますか?
クラウドに促され乗った彼のバイク、フェンリルが走り出す。
私は、しばらくの間彼の眠る地面を見続けた。
END…?
あとがき
意味不明…!!
誰だよ、これ誰の夢だよ!っていうか暗いよ!!
…。そんな話を書いたのは他の誰でもない私なのですよね…。
はは。笑って流してください。
ザックスが出てきてないのも流してください…。だって話の内容が…!!(汗)
とりあえずザックス夢ではあります。
時間軸は大体メテオを防いでから1年くらいですかね。
何せバスターソード刺さってますから。
ちなみにこの時ってクラウドさん星痕症候群なのかな…。
私的には既に星痕だと想いますが。
でも結局これ1年後設定だからもう1年後には確実に星痕なんだよなぁ。
…。星痕ってことで。(アバウトすぎ)
PCサイトより移行。FF7ACは衝撃すぎて本当にありがとうございました。
つか、本当にPS3とかに移植しないかなぁ。
お題はtrash様よりいただきました。
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