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誰よりも心配しているから





君はいつも怪我してばかり。

だけど、それが君なんだよね。

…でも、心配してるんだよ?いつも…。


「たっだいまーセリア♪」

「…お、かえり。ザックス。」


突然、ノックもなしに入ってくるものだから少し驚いた。

…っていうか、仮にも女の子の部屋にノックもなしに入らないでよ。


「なんだよぉー!!反応薄いぞ?」

「や、いきなり入られたら驚くに決まってるじゃない。」

「あ、それもそうか。まぁいいや。ただいま、セリア。」

「…ん、お帰り、ザックス。」


いつもそう。

笑顔で、1番に私に「ただいま」とザックスは言う。

誰よりも、1番に。

でも、いかにも帰ってきたばかりといわんばかりの傷、傷、傷。

所々、血が滲んでいるようにも見える。


「…ザックス、治療は?」

「あー?あぁ、別に平気。少し切った程度だし。今回セリアが出なくて本当に良かったぜ。傷だらけになっちまうしな。」

「…そんなにひどかったの?今回の遠征。」

「あぁ。セフィロスの旦那がよー…こう、動かないっていうか?」

「なるほどね…。セフィロスさんがやりかねないことね。」

「だろー?もう本当にひでーのな!俺ばっかり動いてた気ぃするし!」


そうやって話すザックスに、私も思わず笑う。

実際、彼の話は面白い。

だけど…。


「…ねぇ、ザックス。」

「んぁ?何だ、セリア。」

「…治療、してきて。」

「いや、今更だし…それに」

「いいから、行ってきて。行かないなら私が今からケアル…かける。」

「…どうしたんだよ、セリア?傷なんていつものことじゃん。」

「そうだけど…」


やっぱり、心配はするもので。

少しでも傷があると、本当に大丈夫なのかと心配になる。

ザックスは、自分を傷つけることをためらわない人だから。

他人を、当然のようにかばうから。

そんなザックスが私は好きだけど、やっぱり…。


「…セリア。」

「何…?」

「…俺さ、こんな性格だから傷だらけになんの当たり前だって分かってるだろ?」

「…うん。分かってるよ。そんなザックスだから、私は好き。」

「何だ、分かってんのか。なら、仕方ない、よな?」

「だけど、やっぱり心配なの。いつか…いつか、大怪我をしてしまったらって考えると…。」


今回は、ただの擦り傷や浅い切り傷で済んだけど。

今度は、違うかもしれない。

大怪我をして、治療に行かなければならない状態になってしまうかもしれない。

私だってクラス1stだから、大変さは分かる。

けど…私は、ザックスの彼女、なのだから。


「…心配は、すっげー嬉しいよ、セリア。」

「…誰よりも、心配してるの。ザックスは人一倍、人助けをする人だから…そうなるのは、分かってるんだけど…。」

「あぁ、ごめんな?傷だらけはさすがに見てて辛いよな。」

「…ううん。心配、するだけ。でも、出来れば…傷、作って欲しくないよ。」

「努力する。…それで、いいか?」

「…うん、ありがと。」

「いやお礼言われることじゃないけどな。」


ハハッと苦笑いをするザックスは、なんとも言いがたいけど、愛しい。

自分の服に血がつくのも無視して、ザックスに抱きついた。


「…セリア?血、つくぞ?」

「いいの。ザックスの血だし。」

「なんだそれ。」

「…いいじゃん。」

「ま、セリアから抱きついてくれるのはすげー嬉しいけどな!」


ザックスはそう言って私を抱きしめる。

先程まで先陣を切って出た、ザックスの血の臭いが私の鼻を掠めた。


「あ、臭い…」

「大丈夫。」

「…そっか。セリア。」

「ん?」

「…心配してくれて、サンキュな。」

「…うん。」

「これからも、ここに寄りかかっていいか?」

「もちろんよ。」

「…これも、サンキュ。」

「うん。」


誰よりも、心配しているの。

ザックスは心配ばかりさせるけど。

でも、ザックス、覚えていて。

私は、誰よりも貴方の事を心配しているから。

いつでも、支えになるよ。

貴方のために。


END。

あとがき

SS小説だ…。
妄想するまま書いたらヘッポコ!!(爆)

ザックスにもよりかかるところがあればいいと思う。
そして人助けして血まみれになってても心配してくれる存在がいればと思う。
…妄想まっしぐらー。

PCサイトより移行しますた。
お題はtrash様よりいただきました。

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