名前で。
教室内での、秘密の…話?
名前で。
時刻は2限。もちろん、授業中。
今は、星座の神話ついての授業。
もちろん講義だから、授業を聞いて、ノートを取る。そうしないと、課題でも困るしね。
…だけど、今、私は非常に集中できないでいる。
「どうしたんだ?暦。」
「…なんでも、ない。」
「本当に?」
「…本当だってば、東づ…っ」
「……」
無言が怖い。とというより、先ほどからこいつは何をしているんだろう。
「教科書を忘れた」と言うから、丁度隣同士だったし、机をくっつける。
ここまでは、普通。
だけど、あろうことかこの男、東月錫也は…私の太股を、いつまでも撫で続ける。
おかげさまで、結構好きな授業に集中できない。
幼馴染の3人は遠くの方にいるし、私達は1番後ろの席。
真横で、ジッと見ていない限りは気づくことはない。
…いや、恋人同士だから、別段触れられるのは抵抗ないけどさ。
「ほら、授業に集中しないと。」
「(あんたが集中させてくれないんだよ…)」
物言いたげな目をしてみると、東月は何でもないかのように流す。
むむ…ちょっとむかつく。
「もう、東…っ!?」
す、と東月の手が動く。
しかも、かなりギリギリのところまで。
残念ながら、私はその辺が弱いため(というよりも、太股が弱い)、声を上げないようにするのが精一杯だ。
…一体、何が気に入らないのか、この男。
「…ねぇ、東…っ、」
また。…うーん、一体何が…。
…あ。ひょっとして…。
「…錫也?」
「やっと呼んでくれたな?」
はぁ、と溜め息をつきつつ、東…錫也は太股から手を離す。
「…名前じゃないくらいで、何でこうなるの。」
「え?こうしたら分かってくれるかなって。」
「いや、別に言ってくれれば呼ぶし…!」
「でも、次の日には忘れるだろ?こうでもしないと。」
「…う…」
い、痛いところをつかれた。
…たしかにその通りなんだけども。
まぁ…これからは、名前で呼んであげよう。
大事な、恋人なんだから。
「錫也。」
「ん?何だ?」
「…好き、だよ。」
「うん、俺は愛してる。」
「…っ、バカ錫也。」
おそらく真っ赤であろう顔を隠すように、私は机に突っ伏した。
クスクス、と笑う錫也をじと目で睨みながら。
でも…たまには、こういう授業中の出来事も…悪くない、かなぁ?
おまけ
「「錫也…」」
「ん?どうしたんだよ哉太、それに羊も。」
「どうした、じゃねーだろ。…何してんだよ、授業中に。」
「本当だよ。授業中にすることじゃないでしょ錫也。」
「いや?単に名前で呼んで欲しかっただけだし…他意はないぞ?」
「嘘つけ!すげぇ嬉しそうな顔してたぞお前!」
「そうだよ!彼女をいじめてたのに嬉しそうだった!」
「変な言いがかりはやめてくれよ、哉太に羊。」
「…錫也、暦がかわいそうだよ…」
「月子まで…というか、その光景をずっと見てたのか?お前ら…。ノートはちゃんととったのか?」
「「う…」」
「覗き見するような奴には見せないぞ?」
「「すみませんでした、みせてください」」
「…錫也、何やってんのよ…。」
「あぁ、暦。昼は一緒に屋上庭園に行こうな。2人で。」
「(…何だろうこの空気…後で月子に聞こう。)…分かった。」
end
あとがき。
初、Starry☆Sky夢。
しょっぱなは東月錫也〜。まだキャラがつかめないな…。まぁ仕方ない。
PCサイトより移行。
当サイトの錫也さんはこんなです。大体。
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