アルバイトからのメール
まさか…三成さんが隣のマンションに住んでいたなんて
しかも、隣のマンションの家賃結構高いぞ…
ギロリと睨み続ける三成さんを無視してマンションに入ろうとすると、ポケットに入れていた携帯が鳴った
三成さんはプイと回れ右して、お家賃高めの広々単身用マンションに帰って行った(部屋探しの時に内覧したけど家賃が高すぎて断念)
今更ながら、三成さんと同じマンションにしなくて良かった、ってか家賃払えない…なんてどうでもいいことを考えながら携帯の画面を見てみると
竹中副店長の文字
「竹中副店長からメール!」
ついつい声に出してしまうと、マンションのオートロックのエントランスに入ろうとした三成さんがこちらへ戻って来た
なんちゅう、地獄耳…なんだか嫌な予感しかしない
私の目の前まで来ると、「貸せ」と一言、携帯を取り上げた
「あっ!ちょっと返してください」
両手で取り返そうとするも、三成さんは器用に私の手をガードし、勝手にメールを読んでいた
三成さんがメールを読み終えたところで素早く携帯を取り返し、三成さんによって勝手にいじられていないか画面を見ると
宛名:竹中副店長
件名:お疲れ様
本文:今日はアルバイトお疲れ様。こんな夜中に連絡して申し訳ないね、無事に家に着いた頃かな?
明後日、仕事が終わったあと時間があるかい?
「竹中副店長からのお誘い…」
う、嘘ぉ。まさか、竹中副店長から夜のお誘い…!?
竹中副店長みたいな大人で紳士でイケメンで優しくて気配りもできて…まさにパーフェクトボーイ代表の竹中副店長が私みたいな地味な大学生をデートに……
「たわけ者。半兵衛様が貴様のようなバカを相手にするはずがなかろう」
「うっ…」
そうだよね、竹中副店長とデートなんて、私ってば自惚れすぎ
「貸せ」
三成さんが私の携帯を見ながら手を出した。私は携帯を守るようにして三成さんに背中を向けた
「嫌です」
「フン、では断りの返事をしろ」
「い、嫌です!」
「では、私の言う通りに返信しろ。「せっかくのお誘いですが、私のような小娘が竹中副店長のような高貴な男性のお相手をするにはもったいないので、辞退致します。さしては、石田三成がちょうど暇を持て余しているようなので、私の代わりに彼を推薦致します。」と打て」
この男…
「さよなら」
私は携帯をしっかりと胸に抱きしめ、自分のマンションへダッシュした
三成さんは「待て!」と大声を張り上げたが、追ってくる様子はない
急いでエントランスにキーをかざして、マンション内に入ると後ろを振り向いた
「貴様ァァァァァ…!」と雄叫びを上げて、今にも怒りで爆発しそうだ
ペコリと頭を下げて、さっさとエレベーターに乗り込んだ
あぁ、怖かった
ドキドキしながら、もう一度携帯の画面を覗いてみると、確かに宛名は竹中副店長
「お疲れ様です。あさって時間あります!」と返信をして、エレベーターを出た
早く竹中副店長から返事がこないかなぁ、とウキウキしながら部屋のドアを開けた
「ただいまー」と返事はないけど、靴を脱いで部屋に入り、なにも考えずにカーテンを開けてみたら
「まだいる…!」
マンションの前では、スーパーサイヤ人のごとく怒りのオーラを放つ三成さんが未だに立ち尽くしていた
シャッとカーテンを閉めて、ベッドに座り込んで再び恐怖に震えた
どうしよう、私、次会ったら三成さんに残滅させられるんじゃないだろうか
恐怖で少しの間動けなくなっていると、手に持っていた携帯が鳴った
きっと、竹中副店長からメールだ!
急いで携帯のボタンを押してみると、「竹中副店長」の文字に心が躍る
「よかった。それじゃあ、明後日は予定を空けておいてね。
おやすみなさい、なまえ君」
あああ、竹中副店長…素敵すぎる
メールの文章から、安易に竹中副店長が本当に言っているのが想像できてしまう!
一体、明後日に何が起こるか分からないけれど、いい日になることには違いない!
「とりあえず、竹中副店長のメールを保護っと…」
夢に竹中副店長が出てきますように!
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