リクエスト15.「大好きだった先輩に監禁されてその後」

※ヤンデレシリーズの大好きだった先輩に別れを告げたら監禁されたの続き


監禁されて数ヶ月。

私は誰にも助けてもらえずにいた。

そりゃそうだ、親戚はおばさんだけ。

でも、おばさんには私のメールを知り尽くしたハンジさんが勝手に私の携帯で連絡しているらしい。

たまにハンジさんの監視下でおばさんへの電話を許されるけど、ハンジさんによって入念に作り上げられた設定に基づいてしか話せない。

例えば、今日は◯月だからテストが近い、とか、この時期は飲み会が多いからバイトに必死、とか、聞けば聞くほど本当にハンジさんは私の大学に入ってからの行動パターンに詳しくて、驚いたし気持ち悪かった。

本当は助けてほしいのに、いかにも大学生活が充実しているように話すのはつらかった。

だからもう嫌だとハンジさんに訴えたこともあったが、ならもうおばさんと話さなくていいよね!?とものすごくテンションが上がったように聞かれて、結局それに私は頷けなかった。

彼氏はというと、私が大学に行かなくなってから、別に彼女ができたらしい。

ハンジさんに写真つき(ちゅーしてた)で説明され、絶望しかしなかった。

つまり、私には本当にハンジさんしかいなかった。

高校時代に、ハンジさんばっかりに熱を入れないで、もっと友達を大事にしておけばよかったな、とか、大学に入ってからも、もっと自分に合った仲間を見つければよかったな、とか、ひどく後悔した。

高校のときだって、ハンジさんに依存する私を心配してくれる子はいたのに、私は彼女たちをないがしろにし、大学生になってからは悪い仲間とつるんで授業をさぼったり、夜の街を歩くのがかっこいいと勘違いすらしていた。

馬鹿だった、浅はかだった、もっと真面目に生きるべきだった。

こうして監禁されたのも、最近は身から出た錆びのような気がして、私は自暴自棄になっていた。

お仕置きだと思わないとやっていけない。

優しくされると、まるでこれが"普通"のようになってしまう。

それが嫌で、私は罪人でいたかった。

「ハンジさん、お腹すいた…」

「あれ!?…もうそんな時間?」

「8時すぎてます…」

「あちゃー、集中しすぎて忘れてた。
ごめんね、今何か作るよ。何か食べたいものある?」

「あるものでいいですよ」

「ん、了解」

ハンジさんは元々外食、コンビニ弁当、インスタント食品のオンパレードだったらしいが、私を監禁してからは一応の自炊をしているらしい。

味は可もなく不可もなく、レパートリーも少ない。

しばらくたって、本当にあるもので作ったな、というような野菜の炒め物と白米を出されて、ぱくぱくと食べる。

「美味しい!?」

「普通です」

「ちぇー」

会話だけ見てると、恋人を通り越して夫婦みたいだ。

こうなるともやもやする。

幸せじゃないのに、まるで幸せな同棲生活みたいに見えるのに苛立ちを覚える。

いきなり涙が出てきて、でもお腹は空くからぺろりと何とか炒めを完食して、皿をハンジさんに投げつける。

何度も投げているから、皿はプラスチック製のものだ、割れない。

「、いきなり何」

「馬鹿!消えろ!死ね!」

泣き叫ぶ私を見て、ハンジさんが問答無用で私を叩いて、覆い被さってくる。

たぶん、彼女もわかっているのだ、私がどうされたいのか。

私は罪人らしく、悪いことをしたら手酷く仕置きをされたかった。

じゃないと、この空間にいられなかった。

だから、あんな幼稚な反抗をする。

もう一度何か言ってやろうと口を開く。

そこに、彼女の唇が降ってきた。



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