モブサイコ、ジョジョ4部クロスオーバーです。『霊とか青春とか』と同設定。夢要素あり。オリジナル、ご都合主義爆発です。グロ描写もあり。何でも許せる方のみどうぞ。


















1999年夏、杜王町。

スタンド使いの連続殺人鬼、吉良吉影が事故死し、奴に殺害されてから15年間、守護霊として町を守ってきた杉本鈴美が成仏した。

町はまだ夏の名残を残しながら、少しずつ夜の時間が長くなり、アスファルトは冷め、セミの鳴き声もきこえなくなった。

俺たちも残り少ない夏休みを謳歌しようと思い出したように花火をしたり、海に行ったり、夏の幻影にしがみつくように躍起になっていた。そんな中、あるひとつのニュースが耳に入る。


その日も随分ましになったとは言え、夏の暑さに勝てずしぶしぶベッドから這い出たのが昼前。汗ばんだ体をボリボリ掻きながらリビングに降りると、案の定母親は出掛けていた。そうでなくてはきっとラジオ体操の小学生も真っ青な時間に叩き起されていただろう。

教師というのは夏休みもそれなりにやる事があるらしく、近頃は新学期の準備だ何だと家を空けることが多かった。

適当なグラスを出し、冷蔵庫から出したミネラルウォーターを注ぐ。喉を鳴らして流し込めば生き返るようだった。一息つくとまだぼんやりした頭と足取りでソファーへ向かった。どかっと腰を下ろし、何気なくテレビをつける。そこで目にしたのがあのニュース。


『ぶどうが丘大学、女生徒複数行方不明。家出、事件の両方で捜索』


「………何?」


テーブルに置いたグラスが大きな音を立てた。眉間に皺が寄る。


ぶどうが丘大学と言えば定禅寺に聳えるマンモス校だ。その学部の多さと敷地面積の広さは有名で、更には国立であり他県からの受験者も多い町でも有数の大学である。

そんな大学で、しかも女生徒ばかりが行方不明と。ニュースを見る限りどうやらここ一週間以内で5人。全員学部や年齢はバラバラで共通点もなし。理由は不明で目撃者もいない。その薄気味悪さが、目に見えない遅効性の毒が町に蔓延しているようで、じわじわと進行する病を齎すあの男を思い出した。


「…んなわけねーって、吉良吉影は死んだ。」



自分に言い聞かせるようにひとりごちて、やや乱暴にテレビを消した。時計を見ると昼の12時を回っていた。そういえば朝食も何も食べていないのを思い出して、冷蔵庫を漁るべくソファーから立ち上がった。










「だからよーーー、俺ホントに見たんだよォ。あの花火大会の日に、空にビューーッてよォ。星みたいな光がすごい勢いで飛んでって消えたんだよォ。ありゃ絶対UFOだぜぇ!!」



「…だァからそれは流れ星だっつーの!!もしくは隕石!!お前、隕石落下のニュースとか調べたかぁ?」


「いや、ちげーーんだって!光は見たこともねー動きしてたんだよォ。ジグザグって!!」

「おめぇ、ビューーッなのかジグザグなのかどっちなんだよ」


あれから冷蔵庫を漁るとオムライスがあり、それを温めて食べた。その後制服に着替え、髪型をグレートにビシッと決めると、なんだかこのままカメユーデパートにでも行ってイタリア製の革靴なんかを試着したい気分だったが、口座を凍結されていることを思い出してやめた。

まだじりじり照らしてくる日差しの中、あてもなく歩いていると見知った顔に出くわした。見知ったというか、夏休みだというのに見飽きたというか、そいつが億泰である。億泰は俺の顔を見るなり「お〜〜〜仗助聞いてくれよォ」と話し始め、今に至るというわけだ。ちなみに奴の最近の話題とはもっぱら康一や由花子たちと見に行った杜王港花火大会で見たというUFOの話だ。


「…んなことよりよォ、お前、ニュースみたか?」


「そんなことって何だよォ!!……お??ニュース?」


「ぶどうが丘大学の行方不明事件だよ」


真偽の定かでないUFO話は置いておいて、俺は億泰に訊ねた。俺たちの足は高校近くのアイスクリーム屋に向いている。億泰は首を傾げて考える素振りを見せていたが、どうやら思い出したらしく手のひらを拳で小さく叩いた。

「ああ、今朝のニュースで見たぜぇ。家出か事件かわかんねーんだろ?それがどうかしたか?」

「…いや、俺の考えすぎかもしれねーんだが」


先程の話から一転、言葉に詰まる俺に億泰は怪訝そうな顔をした。俺たちの横を走り抜けていく子供たちの無邪気な笑い声が余計に心をざわつかせた。


「思い出したんだ。奴のことを。俺の精神が感じる。事件はまだ終わってない」


ハッキリそう言うと、億泰は立ち止まって驚いた顔で俺を見た。そしてその顔はみるみる不安に満ちていった。


「奴って、吉良吉影のことか?あいつは死んだぜ仗助。俺たちで追い詰めて、俺たちは悪に勝った。そうだろ!?」


億泰の言うことは確かだ。しかし、この町にはまだ、根の深い悪が潜んでいる。俺にはそんな気がしてならなかった。縋るような億泰の視線を振り切って俺は再び歩を進めた。その後ろを数歩遅れて億泰もついてくる。俺たちは暫く無言だった。けれど、何をすべきかはもうわかっていた。




「連絡をとろう、承太郎さんに」






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