この手に掴んだ幸せを(短編) | ナノ

▽ 【頂き物】(葵様)


ヒノエが怪しい妖怪商人から貰った謎の箱のせいでパラレルワールドの世界に来てしまった彩乃達。
そこで仲良くなった奴良組の皆と元の世界に戻れるまでの間お世話になることになった彩乃達は、その晩歓迎会と称した宴を開いて貰ったのだった。


「皆飲め飲め〜!今日は新しい仲間の歓迎会じゃ〜!」

「総大将!あんたもうどんだけ飲んでるんですか!?」

「うい〜くっ!私はまだまだ飲むぞー!!」

「斑、お前は少しは遠慮せんか!!」


完全に出来上がっているぬらりひょんとニャンコ先生を遠くから呆れた目で見つめている彩乃とリクオ。
必死に二人を止めようとする鴉天狗には悪いが、正直酔っぱらいの相手はごめんである。


「…ごめんね、家のバカ猫が…」

「いや、家のじじいだって似たようなもんだしな。」


夜の姿になっているリクオの言葉に苦笑する彩乃。
二人共いい歳して宴にはしゃぐ姿がお互い身内として恥ずかしいようだ。


「あっ、リクオ君はお酒飲めるんだよね?良かったらお酌しようか?」

「ああ、頼む。」

「いや〜、皆楽しそうだね〜!」

「鯉菜ちゃん!」

「姉貴!」


彩乃がリクオにお酌をしていると、突然背後から鯉菜が声を掛けてきた。


「あれ?鯉菜ちゃんは夜なのに人間の姿のままなんだ。」

「あーうん、私は自分の意思で自由に姿を変えられるんだ。」

「そうなの?すごいね!」

「いや〜、そんな褒めても…確かにすごいけどね!」

「自分で言うなよ」

「ふふ、鯉菜ちゃんて面白いね。」

「そう?ありがとう」

「…姉貴、ぜってー褒め言葉じゃねえぞ?」


クスクスと可笑しそうに笑う彩乃に照れ臭そうにはにかむ鯉菜。
ずれた会話をする鯉菜にリクオは思わず突っ込まずにはいられなかった。


「ねぇねぇ、そういえば彩乃ちゃんは……にぎゃっ!!」

「んふふ〜、相変わらずいい胸してるわね〜!」

「なっ!ヒノエ!?」

「ぎゃああ〜!レズおばさん!!」

「誰がおばさんだい!お・ね・え・さ・ん!」

「鯉菜ちゃんから離れなさいよ。ヒノエ!」

ゴンッ!

「ぎゃっ!」

「…ほっ」


突然背後から現れて鯉菜の胸を両手で鷲掴みにするヒノエを、彩乃は慣れた様子で拳骨で地に沈めたのだった。


「…まったく、ヒノエは油断も隙もない。」

「…いつもこんな感じなのか?」

「…ああ…まあ…」

「大変だね。」


どこか疲れたような彩乃にリクオと鯉菜は同情の眼差しを向ける。


「…ま、今は帰る方法が見つかるまで不安だろうけど、暫くの間よろしくね!」

「あ、うん!こちらこそ…」

「何かあったら力になるぜ」

「うん、リクオ君も鯉菜ちゃんも、少しの間だけどよろしくお願いします。」


ぺこりと頭を下げてお願いする彩乃に、リクオと鯉菜は力強く頷いた。

ひょんな運命の悪戯で出会ってしまった彩乃と鯉菜。
本来なら決して出会うことのない二人の少女達の出会いは、暫しの奇跡として後の二人の少女の中で大切な思い出になるのだった。







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Andante♪様のあの可愛い彩乃ちゃんが…我がサイトの夢主と話している!!(感動)
葵様、素敵なお話をありがとうございました!!




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