今帰仁‘s Birthday

『ハッピバースデー今帰仁くん。』

「あ、ありがとう。」


やぁやぁ、皆さん。
今日は5月4日、今帰仁くんの誕生日でございますわよ。めでたい、なんともめでたい。そして可哀想。何が可哀想って…


『派手にやられたねぇ…』

「…来須くん達に…」

『だろうね!』


爪先から頭まで、あちこちにパイの残骸がついてある。どうやら誕生日だということで投げつけられたらしいけど…あれは最早罰ゲームじゃないかなって思うよ。てゆうか洗濯をする私の身にもなれよな。ただでさえ、今日は洗濯物が多いってのに。


『…あぁ、そうそう。忘れてた。
大したものじゃなくて悪いんだけど…
はい、誕生日プレゼント!』

「ブドウジュースと…
ブドウのキーホルダー?」

『うん♪ 猪原先輩が教えてくれたんだ、今帰仁くんの好きなものはブドウだって!』

「…! 猪原先輩が…」

『仲良くできてるんだね!』


吃驚、だけど嬉しそうに、今帰仁くんは目をぱちぱちさせる。可愛いなオイ。私より可愛いというか、反応が最早女子が高くね?


「…後で猪原先輩にこれ見せよう。」

『あはは、きっと猪原先輩も教えた甲斐があったって喜ぶんじゃない?』

「うん…ありがとう、咲さん。」

『いえいえ、どういたしまして。』

「…飲んでいい?」

『どーぞ?』


喉が渇いてたのかな…
あげたブドウジュースをささっと開け、ゴクゴクと良い飲みっぷりを見せてくれた。そして、ぷはっと一息をつき、そのブドウのキーホルダーをじっと見始める。


「これ…もしかして手作り?」

『へ? あぁ、うん…ごめん、嫌だった?』

「え? …あ、そんなことないよ! ただ…マネージャーの仕事も忙しかっただろうに、いつの間に作ってたんだろうって…」

『あー…まぁ、洗濯物が洗い終わるのを待つ間とかさ!』

「へぇ…凄いね。」


言えない。
あなた達が試合してる隙を見て日頃から手芸やってます、だなんて…言えない!

と言ってもまぁ、これは今日の試合が終わってからずっと作ってたものだけどね。だからこそ、時間がなくて少々雑な仕上がりになっているため、あまりまじまじと見て欲しくないんだが…。


「…咲さんはマネージャーと手芸部を両立して、えらいね…。」

『そうかな…(両立どころかマネージャー8で手芸が2な割合だけどなぁ)』

「オレも咲さんみたいに頑張るよ…!」

『…うん!
今帰仁くんならやれるよ、頑張って!』


よく分からないけど、今帰仁のやる気スイッチが入ったようだ。そして話の区切りがよくなったところで、そろそろ部屋に戻ろうという話になった。
何気ない世間話を繰り広げながら、お互いニコニコして部屋へ向かっていると…


「おっ おっ
ナッキー何貰ったの?
もしかして…夜這いされた!?」

「ち、違うよ風間くん!」

『夜這いするならこんな堂々と外歩かないって。しかもパイまみれの人と。』


途中現れた風間が今帰仁くんをからかい、何故か私がフォローするという謎のトリオができてしまった。
なお、賑やかな私達につられた来須達1年も加わり…ただ部屋に帰るだけのものが大所帯となってしまった。
…え? それがどうしたって?


「おい1年!
ぎゃあぎゃあうるせぇぞ! たわけが!!」

「「「す、すみません!!」」」


君下先輩の雷が落ちたとさ。
勿論、要領も頭もいい私や風間、今帰仁くんはささっと来須達の陰に隠れたけどね!



(「おっ、やるなぁ咲ちゃんもナッキーも」)
(『流石に誕生日まで君下先輩に怒られたくないよねぇ、ナッキー?』)
(「えっ…あ、うん。流石にそれはやだな。」)
(『今更だけど私もナッキーって呼んでいい?』)
(「うん、好きなように呼んで。」)





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