▽ 体は赤子、頭脳は大人!
はい、こんにちは。
皆のアイドル、鯉菜だよ!
いや、何言ってんだよ遂に頭湧いたかって思ったかもしれないけど、あながち嘘じゃないんだな〜これが!! 毎日毎日鯉菜ちゃん大人気でっす! でも虫みたいな妖怪にはいまだ慣れません! ごめんね!
ま、それは置いといて。私赤ちゃんの世話したことないから、どのくらいのペースで成長するのか全然分からないんですけど。
何も考えずにハイハイしたら、この間牛鬼に…
「…鯉菜様は成長が著しくお早いですな」
とか真顔で言われたんですけど。まずかったかな。でも自分が生後何か月かも知らんし、普通のペースも知らんし…鯉菜ちゃんピンチ!
あー…それにしても、
目の前のこの親父どうしようか。
「鯉菜〜お父さんだぞ〜お父さん!」
牛鬼の、成長が早い発言で、じゃあ言葉ももう話せるんじゃね!?って流れになって、
「あ、パパでもいいぞ〜! パーパ☆」
っていう風に毎日何回も言ってくるんだ。
「お〜い、鯉菜〜?」
正直言ってな?
いくら好きなキャラだったとは言え…
「あ!親父は却下な!
親父なんて言ったら泣くからな!?」
『ばふー(泣いてしまえ!)』
鬱陶しくてこのイケメン顔を殴りたくなるわ。
「あー! 惜しい! ばふーじゃなくてパーパ☆」
『……(うぜぇ)』
誰か助けてくれ。
誰にでもなく助けを求めた私だったが…やっぱ日頃の行いがいいからかな? 救世主が現れた。
「なーにやっとんじゃい、鯉伴」
救世主、おじいちゃんのおなーりー!!
あんた神だよ! メシアだよ!
「見れば分かんだろ? 言葉を教えてんだよ」
「…まだ早くねーか?」
あ、まだ早いんだ。情報ゲットン。
ナイスだじいちゃん。
「そんなことねーよなー? 鯉菜」
いやいや、私に同意を求めないでくれ。
子育てしたことないから知らんがな。
「いや、早いじゃろ…なぁ鯉菜?
わしはおじいちゃんじゃ! ジイジでもいいぞ」
お前もか、ブルータス…!
メシアなんて言っちゃったけど、お前も鯉伴と同レベルに落としてやる。メシアの位なんか剥奪だ。
「鯉菜、こいつぁジジイで充分だからな!」
「おまっ、親をこいつ呼ばわりとはなんじゃいこの馬鹿息子!」
ギャンギャン叫び合う二人を聞きながら、私は自分の心に誓った。一番最初に喋る言葉は「お母さん」にしようと。うん、それがいい。
…てかうるさいから二人とも出てけ!
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