この手に掴んだ幸せを(ぬら孫) | ナノ

▽ 蛙の子は蛙

えー、先日はどうもお騒がせしました。
え? 誰に話しかけてるかって?
知らねーよ。暇すぎて1人でナレーターやってツッコミしてんだよ。

結局あの大泣きした後、鯉伴さんが周りの妖怪を追い出してくれたので、何とか泣き止みました。
いやー、雪女とか黒とか首無、可愛いしかっこよかったんだよ? でもね、目がたくさんあるやつとか、虫と人間のコラボ妖怪とかさ、間近に来てみ? 怖いしキモいし…泣かない方がスゲーわ。

そうそう…若菜さん達が「(私が)起きてるの珍しい」って言ってたの、覚えてる?
あれね、理由分かったよ。
ご飯とトイレの時だけ泣いてたけど、それ以外はずーーーーーっと爆睡してたらしい。しかもご飯とかトイレの時も、泣きはするけど目が閉じたままだったらしい。どんだけオネムだったんだよ。そりゃ心配にもなるわ。


「よう、鯉菜。おはようさん」

『うー!(きゃー鯉伴さんだー!←)』

「今から朝飯食いに行くが、お前さんも来るかい?」

『あい!(もちのろんよ!)』

「そーかそーか、じゃあつかまってろよー?」

『…ぁうっ!?』


ちょっ…鯉伴さん苦しいっ!!
鯉伴さんは赤子の私を、とんでもない持ち方で抱いている。いくら育児初心者とは言え、赤ちゃんをこんな抱き方する奴いるか? 普通はいねーだろ。
故に、
息苦しくて段々と意識が遠のきそうになっていた時に表れた彼が、私にはメシアに見えた。


「あ! ちょうどよかっ…!!!?」

「おー首無じゃねーか。……どうしたんだい?」

『…ぅ、ぷ』

「…鯉菜様を肩に担ぐやつがあるかてめー!」

「何を朝から騒いで…って鯉伴様――――! 赤子をそんな風に抱いてはなりませんぞーー!!」

「え…そうなのかい? 悪かったな、鯉菜」

『…ぷあぁぅ…(また死ぬかと思った)』

「がっはっは!! 鯉伴おめー、ワシと同じことしよるじゃねーかい!」

「げっ…親父と一緒かよ…。」

「げっとは何じゃい、この馬鹿息子。
それより儂にも孫を抱かせんかい!」

「やだねー。
なぁ? 鯉菜は俺がいいよなあ?」

『あーうー(何だこの馬鹿親子。むしろ私は鴉天狗で遊ぶ!)』

「…鯉菜様がなんと! 私のもとに来ようとしていらっしゃるではありませんか! この鴉天狗、嬉しくて涙が止まりませぬ!!」

「「………チッ」」


嬉し泣きしている鴉天狗に舌打ちする馬鹿親子、その光景に苦笑いするイケメンな首無。
私、本当にぬら孫の世界に転生トリップしたんだなー。そうしみじみと感じながら私は鴉天狗に手を伸ばす。

感動して泣いている鴉天狗だが、この後鯉菜に遊ばれて、今度は別の意味で泣くはめになることを今はまだ誰も知らない。


(『だうー!きゃっきゃっ!』)
(「ぎゃーー!毛を…毛をむしるのはやめてくださいー!!」)




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