この手に掴んだ幸せを(ぬら孫) | ナノ

▽ お客人

「リクオ様、鯉菜様ー
玄関にお客人ですぜー」


夕方頃、昼リクオと2人で雪見大福を食べていた時にそいつらは来た。


「来ちゃった」

「清継くん!? それに皆!?」


清継にカナちゃん、巻トリーだ。
制服姿ってことは…学校帰りに寄ったのかな。


「おぉ〜…ここが奴良家かぁ」

「すげぇ…妖怪がいっぱ…………先輩!?」

『久しぶり巻ちゃん、鳥居ン』


こっちを見てピタッと固まる2人に、ニコッと笑う。2人に合うのは久しぶりだから素直に嬉しい!


「先輩!! もう大丈夫ですか!?」

「心配してたんすよ!?
刺された時以来会ってないからー!!」

『お、おぅ…すまんって…ムがぁぁぁぁぁぁ!!』


リクオが清継とカナちゃんとホンワカ話してるのに対し…何だコッチは!?
何で私は今…巨乳圧迫祭りされてんだー!?
てかマジデカ過ぎて息が…窒息死するわ!!


『………ぷはあっ!!!??』

「いいなぁ鯉菜…お前役得だな」

『…お父さんは毛倡妓にやってもらえばいいよ』

「…ハハッ…死ぬな。
死んだうえで更に首無に殺されるな。」

『ご愁傷様』


いつの間に来ていたのやら、解放された私はお父さんと話していたのだが…
あれ? 私を殺そうとした巻と共犯者の鳥居が見当たらないぞ?


「ぎゃぁぁぁぁぁ!! 何だこいつー!!」

「来るんじゃなかったー!! ひぃー!?」

「喰らいあうー」

『ぶはははははは!!
最高だわ! アハハ! いけいけー!! 鳥取の大将ー!!
巻トリーもがんばれー!!』


え? 何が起こってるのかって?
鳥取の大将にガジガジ巻の頭が食べられてるなう!
クソ笑える!!
それを爆笑して見ていれば…


「駄目だ鳥取の大将!! それ以上食べちゃ!!」

「悪行のにおいいいいいいいい!!!」

『げふっ!?』

「ぎゃうっ!?」


注意するリクオの声。
そして、ゆらに何故か蹴られ…棒倒しの如く鳥取の大将に突っ込む私。
…何で私蹴られた?
しかも誰も私の心配してないし!
巻トリーはもうゆらちゃんをタムタムしてるし!!
鳥取の大将は何かもう倒れてそのまま鼻ちょうちん出して寝てるし!?


『私もいっそのこと寝るか? ぐえっ』

「怪我してねぇかい?」

『私の背に座って言う事か? それ…』


うつ伏せにパターンと倒れた私の背に座るのは…
もちろんお父さん。


『! ぁぁ〜そこいいわ…そこそこ』

「ここかい?」

『うぅ〜効くぅ〜!!』

「お父さん達は地べたで何してんの!?」

『何って…』

「肩もみだが…?」

「地べたですることじゃないでしょ!!」


懐かしいハリセンを出して私達を叩くリクオ。
久しぶりにそれで叩かれたら痛いな…

そんなこんなで、ようやく落ち着きを取り戻した皆は客間に移動。
島君を除いた清十字団とリクオ、ゆらが楽しそうに話している。…ちなみに島はサッカーの試合でどっかに出掛けてるらしい。アイツ意外とスゲェな…今のうちにサイン貰って、いつか高く売れねぇかな。


「お前は混ざらなくていいのかい?」

『…あぁ、ちょっと調べ物があってね』


そう言って取り出したのは携帯…電話帳を開き、ある者に電話する。


『…もしもし、秋ちゃん?』

「か、彼氏か!?」

『お父さん五月蝿い。違うから。』


グイッとこちらに詰め寄るお父さんの口に、近くにあった手ぬぐいをプットイン!!
やれやれ…ようやく静かになった。


『あぁ、ごめんごめん…こっちの話。
それで? 今どこに…、…列車? なら後で電話しようか。え…いいの? 悪いわね』


どうやら特急列車に乗ってるようだ…周りの皆さんに申し訳ないが、うん、電話を続けさせていただきます!! スマンです!!


『この前話したことなんだけど…先生の話。
先生を死なせずに、兄貴だけ滅すること出来そう?』


私の言葉に、「お前…」と吃驚しているお父さん。


『…うん、妖怪ではないね。
うん……御札ね、分かった…やってみる。
ーん? もし駄目だったら?
…取り敢えず、無事に捕獲しようかな。
それで12代目の吾輩御門院と晴明倒したら…なんとか術が解けたりしないかあなぁ…なんて。
…アハハ! そんな上手くいかないかぁ〜
まぁ…もし先生を無事捕獲して、尚且晴明倒したらさ、そん時は君達の力を貸してよ。
秋房さん』


電話の向こうで「分かった」という頼もしい声に、お礼を言って電話をきる。
やっぱり秋房さんは優しいなぁ…。
秋房さんに感謝していれば、横から低く静かな声が聴こえる。


「…兄貴は…消すつもりなんだな」

『…なぁに、その顔は』

「いや…なんつぅか…和解とかしなくていいのか」

『…さぁ、和解するも何も…向こうは私を恨んでる事に変わりはないだろうし…そこは何とも言えないなぁ〜』

「そう…だよなぁ…」


縁側に2人並んでボーッとする…
…ハッキリ言おう。
寒い!! 今まだ冬だからね!? 寒い!!
いくら陽が出た夕方頃といえども、寒い!!


「なぁ鯉菜…寒くねぇか?」

『寒い…』

「おしくらまんじゅうしてみっか!?」

『2人で!? 嫌だよそんなの!! どんな罰ゲーム!?
普通に室内に入ればいいことじゃん!!』

「なんでィ、ツレねぇなぁ。…およ?」

『はぁ? …って黒と青!!』


お父さんの視線の先を見れば、ボロボロだが元気そうに帰ってきた黒と青がいた。


「鯉菜様…ニ代目…」

「随分と苦戦したようだな、2人とも」

「あんなモン…
ワシの腕にかかりゃあチョロイもんですぜェ!!」

「バカ青が、貴様が拙僧の言う通りにしたらこんなにボロボロになることもなかったのだぞ!?」

『あーハイハイ。
無事であれば何だっていいよ、おかえり! ほら2人とも傷見せて、治すから。』


お父さんと私で2人の傷を治していれば…


「…ああ…
あなたは…やっぱりこの家の人だったんですね…」


鳥居が黒に気付き、頬を染めて言う。
これはー!


『エンダァァァァァァァァァァァァァイヤァァァァァァァァ』

「やめろ! 逆に雰囲気ぶち壊しだ!!」


…チッ!
人がせっかくふわふわなピンクな雰囲気を作り上げようとしたのに!


「…あぁ、リクオ様の御学友の………
これはお見苦しいところを……」

『え、お見苦しいって私のこと!?』

「いや違います!!」

「お前は少し黙ってられないのか!?」


スパァンとお父さんにまたもや頭を叩かれる…
アンタ私の頭をタンバリンかなんかだと思ってないか?
それでも治療する手を止めない私はとても偉いと思う、うん。
そしてー


「青…黒ー!!」

「若…!! ただ今帰りやしたぜ…」

「あぁ…よく帰ってきてくれた!!」


青と黒の無事を信じると言っていたリクオ。
口では信じると言っていたものの、やはり不安だったのだろう…物凄くホッとした顔をしている。


「中部の者です!
この度の一大事…
青田坊、黒田坊のおかげで乗り切りました!!
我らも微力ですが役立てて下せぇ!!」

「………
ありがてぇ話…」


おやまぁ…夜リクオに変化したぞ。
急に変化したリクオに、清継はもちろん…カナちゃん達も驚いている。


「いけねぇ また血がたぎっちまった
カナちゃん…清継…みんな、ありがとう。
あとは…まかせておきな」

「リクオくん…
本当にそういう人たちの…大将になったんだね」

「カナちゃん…
…信じて待ってな、オレの百鬼夜行をな!」


氷麗もだけどー
カナちゃんだって、リクオが小さい頃からずっと傍にいたんだよね…
カナちゃんが言った〈立派な人〉に、本当の意味でリクオはなったんだなぁ…
月日が経つのは早いなぁ…


「姉貴?
なにババアみたいな顔してんだ…決起集会始めるぞ。」

『…誰がババアやねん!! 精神年齢はババアだけど身体はピチピチだっての!!』

「ごふっ!?」

「…よく考えたらお前…精神年齢は35辺りになるのか。35にしてはお前精神年齢幼過ぎだと思うぞ?」

『400歳越えたじーさんにンな事言われたくねぇわ!!』

「誰がじーさんだこの不良娘!!」


ギャーギャーと騒ぎながら、大きな庭がある方へ向かう。
晴明および御門院家との戦いが始まるまで
あと少し…



(「にしても、ジジイはどこ行ったんだ」)
(「昔の戦友呼びに行くっつってたぞ」)
(『(氷麗のママンに会うのが楽しみ…!)』)




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