Bookshelf

小話5

「ほら、ベットにいくよ」
「ん…?俺は…誘われてるのか…名前に…」
「なにをもにょもにょ言ってるの?」
「名前…」
「うあっおい!」

腕をぐいっとひかれたので体制が崩れてゼロの腕の中に収まった。

ゼロの右腕が私の肩に左手は腰にまわり、ぎゅうっと抱き寄せられて2人で横になったのはぽかぽかのこたつの中。

狭いというのにゼロは器用に足まで絡めてきたのでさっそく自力で抜け出せそうにない。

「ん…どこにもいくなよ、名前」

私の耳元で願うように囁くゼロは眠そうに目を細めているが、その目は甘く優しい。

「うん…うん。ゼロをおいていかない。約束する」
「…あぁ」

満足そうにふにゃっと笑い、私を抱き込む腕の力が少しだけ強まった気がした。


このこたつは、一緒に住むとなった時にゼロがあっという間に解約してしまった私のマンションから持ってきていた。

その存在をすっかり忘れていたのだが、この前荷物の整理をしていた時に出てきたので、リビングに置いてみればこの居心地の良さが気に入ったらしいゼロの定位置になっている。

今日もゼロは喫茶店と組織との仕事が重なっていたのでお疲れの様子。できればこのまま寝かせてあげたい気持ちもあるがこのままこたつで寝てしまっては風邪を引いてしまう。ベッドに移動させようとしたのだけど…

「そろそろベッドに…」
「…もう少しだけ」

ふにゃっと緩んだ顔で笑うゼロに仕方ないなぁと移動を諦め、安定する場所を探してすり寄ればこたつとゼロの暖かさに負けていつのまにか眠ってしまっていた。

翌朝2人してからからの喉の渇きで目がさめることになる。

「うえーのどかわいた」
「背中も腰も痛いな」
「私も。…もうアラサーだもんねお互い」
「あぁ…」
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -