スコッチ成代♀
※組織は自殺に見せかけ抜け出してます。
※スコッチ時代は変装(男装)してました
※IF話
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ガチャン、と鍵が開く音が聞こえたので玄関まで向かって、おかえりと言い終わる前にぎゅうぎゅう抱きついてきた。今日のゼロは相当お疲れらしい。
『…ぜろ〜』
『ぜーろくーん』
『…零くん』
「…ん」
最近になって、ゼロじゃなくて名前で呼んでくれと言われたので少しずつ変えているのだが慣れ親しんだあだ名から名前呼びにするのは意識してもなかなかすんなり出てくれない。零くん。…なんだか照れくさいのもあるが。
私も腕をまわして背中をポンポンと軽く撫でる。お疲れ様、今日も頑張ったね。と言葉にしなくても長い付き合いの彼にはこれだけで伝わる。
ゼロが満足するまでこのままでいよう、とそのまま優しく撫で続ける。外での彼は頑張り屋で弱音を人前で吐くなんて絶対しないから、自分の家でくらい甘えさせたいし負担を溜め込ませたくない。
しばらくして落ち着いたのかそのまま深く深呼吸を始めた。
『ふふ、零くんくすぐったい』
抱きつかれている状態のため必然的に耳元近くなっているから耳元と首筋にあたる息がくすぐったいのだ
「いいだろ。…いい加減慣れてくれ」
名前…
『っひゃあ!…んもう零くん、怒るよ!』
耳元で囁いてきたかと思えば!耳はむってしてきた!ちょっと口の中で舐めたでしょ今!
先ほどとは違いビシビシと非難するように、背中を叩いてようやく腕の中から解放された。
「ははっ、顔真っ赤。かわいい」
なんて外では見せない緩んだ笑顔で笑うもんだから、なんだか怒るに怒れないのだ。私の頭をひとなでしてリビングに向かうゼロに、まぁた!悪びれもなくからかって〜!と言葉を投げる。ここ最近は特にスキンシップが増えてきている気がする。
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昔からの付き合いである彼は何かと世話焼きで心配性でとにかく私の面倒をみたがった。
私自身もそんな彼の姿を見て兄がいたらこんな感じなのか?と思ったし周りもそう思ってたみたいだ。
中学、高校と警察学校、そして配属部署や組織への潜入捜査と図ったかのようにすべて一緒だったので、彼がいないというもしもの日常がまったく想像できない。
彼もまた同じだったようで、私がNOCだと疑われているという情報をいち早くゲットした彼はありとあらゆる対策を練り万全の体制で保護しようと駆けずり回っていた、らしい。(ゼロを一番慕う後輩からの後日談だ)
そんな彼にも読めない事があったようで俺はバーボンより先にライに追い詰められた。ここまでか、と諦めるより前にデータの入った携帯があることを思い出し何としても情報を取られないようにライの拳銃を奪って左胸目掛け撃ち抜こうとしたが引きとめられ、彼もまたFBIからのスパイである事を知らされる。
組織の目を欺いて、抜け出す事ができるかもしれないと思った矢先にビルを早足に登ってくる足音が聞こえてきた。組織のやつがきたのかと諦めライの意識がそちらに向いてる間に銃の引き金を引く。
パァン。
響き渡る銃声。その直後に姿を見せ、目を見開いたゼロに、なんだお前だったのかと状況を察した私の口元にフッと笑みが浮かぶのは、早とちりした私の行動と、最後に彼に会えてよかった…という嬉しさから。
そのまま私は意識が遠のいてい……ん?
意識が遠のいて……いかない?
『あれ…俺生きてる?』
その問いかけに珍しく動揺した表情のライと、かなり不機嫌そうなバーボンが揃って頷いた。
「えぇ、僕よりもライの方が早く駆けつける確率はかなり低かったですが、念のため弾を抜いておいて良かったです」
なるほど、空砲だったわけか。
先ほどの不機嫌顔から、一転満面の笑みになったがそれが貼り付けられたものであると分かるためとってもこわい。
それからライがFBIということを説明し、バーボンが公安であると嫌々告げてからはあっという間に偽装死の状態が完成して、無事抜け出せたというわけだ。
そのまま、ゼロの家に連れられ「俺をおいていこうしたんだ、絶対許さない」とあれよあれよと諸々の手続きを済ませ、仕事は家で出来るものにしてもらいました。家は一緒でいいですね。とまったく問いかけていない問いに、はいと答え続け今に至る。
いやぁ、今の生活も気に入ってるから結果オーライか。と現状を受け入れてしまうくらいにはこの幼馴染に弱いのだ。