My bogus gentleman ! | ナノ
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英語のお時間!

現在私は、体育館の冷たくて堅い床の上に正座しています。目の前には仁王立ちの監督。その手に握られているのは、

「紺野お前、何だこれは」

いつぞやの、英語のテストだ。さらにぶっちゃけるとあまりの点数の悪さに家に持って帰るのが怖くなって部室に隠していた、赤点をギリギリ免れたテストである。

「あはは…。えっとですね、私他のテストは余裕で8割超えるんですけど英語だけはどうしても、いだだだだ!」
「そ ん な こ と は 聞 い て い な い」
「ごめんなさいいいい!!」

英語。それは私の天敵。氷室先輩以上に厄介なモノである。中学の頃から英語だけは平均点を越えたことがなく、酷いときは点数が一桁のときだってあった。まあでも英語なんて、私一生日本から出る気ないからできなくたっていいんだけどね。

「だから私に英語教えなくて大丈夫です氷室先輩!」
「いいから黙って手を動かす。はい次、このページに書いてある英単語10回ずつ書き取り」
「ええええ!?このページに単語がいくつ書いてあると思ってるんですか先輩バカですか!?」
「え、なあに100回がいいって?」
「わあ10回とか超ラクですね!」

なぜこうなったかと言うと、私の英語の出来があまりにも悪いことにぶちギレた監督が部員の中で一番英語ができるであろう氷室先輩に私に英語を教えるよう頼んだからである。かれこれ2時間近く氷室先輩がつきっきりで教えてくれているが、正直もう限界だ。嫌いな英語とこんなに向かい合うだなんて、私もう死んじゃうかもしれない。

「うぅ…もう無理です先輩。おじいちゃんが川のあっち側で私に手を振ってる…。おじいちゃん今行くよー」
「大丈夫、キミのおじいちゃんまだまだ元気だろう?」
「はいそうですおじいちゃんもおばあちゃんもピンピンしてます…」

もうダメ無理。無理無理無理。英語とかマジ意味分からん爆発しろ。この世から英語消えてしまえ。

「ほらなぎさ頑張って。次のテストでまたあんな点数取ったら監督に殺されるよ」
「それは分かってるんですけどー…。何ていうか、やる気でなくて」
「ウチの学校の入試でも英語こんなに悪かったの?いくら他の教科の点数が良くたって英語がこんなだろう?よく受かったね」
「あーはい、合格しないとケータイ買ってあげないって言われたから頑張りました…」

それを聞いた氷室先輩は顎に手を当ててしばらく黙りこんだあと、何か思い付いたのかにこりと笑った。

「じゃあ今度のテスト、いい点数取れたらデートしよう。おいしいアイス屋さんに連れて行ってあげる」
「それは頑張らなくていいと、そういうことですか先輩」
「ちなみに悪かったらキスね」

この発言に私が死に物狂いで英語を勉強したのは言うまでもない。

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