My bogus gentleman ! | ナノ
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私の似非紳士!

転校してきたばかりの頃。重い物を運ぶ女子を手伝ったオレに、彼女は"氷室くんは紳士だね"と言った。当たり前のことをしただけだと返せば、そういうところが紳士的で素敵だと媚びるように言われて。
ふーん、そう。オレはただキミに親切にしてあげただけで、キミのことなんて何とも思ってないけどね。

日本の女子ってこういうのばかりなんだろうか。アメリカの友人たちは日本の女性を"大和撫子"と言って褒めていたけれど、大和撫子なんていないじゃないか。全部がそうだとは言わないけれど、少なくともオレに近づいてくるのは男に媚を売る女ばかりで。

そんな中で出会ったなぎさは、大和撫子ではないにしろ媚を売る女子とは正反対の女の子だった。

彼女の反応が見たくて、セクハラ紛いなことを言ったりちょっかいを出したりして何度もなぎさを怒らせた。物を投げつけられたり暴言を吐かれたりしたけれどそれは一種の照れ隠しなのだろうと思うと彼女にどんどん惹かれていって。

『いやいやいや、照れ隠しでお前どんだけバイオレンスなことされてんだよ』
『え、なぎさちんってあれ照れてるの?ねえあれ照れてるの?』

…もしかしたら照れてなんていなかったのかもしれない、けど。それでもオレはなぎさのことが好きで、なぎさもオレのことが好きだと言ってくれた。

「なぎさちん重そうだねー。大丈夫?」
「だ、大丈夫…じゃない、」
「持ってあげたいけどオレも今お菓子で両手塞がってるしー…。そーだ室ちん、持ってあげなよ」
「そうだな…。彼氏としては持ってあげたいところだけど、」
「?」
「なぎさの重くて重くて仕方がないって顔をもう少し見たいとか思ったりして」
「死ねこの似非紳士」

それでもしばらくは彼女に対して、周りの女子が言うような"紳士的"な態度はとれそうにもない。

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