花言葉


町外れにある丘
そこにある一本の木に凭れるようにして
一人の女が佇んでいた

一見少女のように思えるほど童顔だが
体つきからして大人であることが判断できる

女は物憂げな瞳をしていて
ただ虚空をみつめていた

その後ろから一人のは男が現れた

「よォ」

女は振り返ることも返事をすることもなかった
男はそのことを気に留めることもなく
女の横に立つ

すると漸く口を開いた

「高杉さん」

静かな場所でないと聞こえないくらいの小さな声

「花言葉ってなんであるんでしょうね」
「…さぁな」
「一つ一つの花に必ず意味があって、またその一つの花に沢山の意味がある」

今日思った些細な疑問を紡いでいく

「不思議ですよね。場所によっても意味が違うし、同じ花でも色が違ったらまた違う意味になる」

男…高杉晋助は
何も言わずに聞いていた



もし
私たちが花だったら
どんな意味になるんだろう



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