君の温かさを知る


わかってたつもりだった
神楽ちゃんだって言ってたし…

けど、
私はあまくみていた

何やってんだろ、私…
これじゃ逃げてるだけで何にもならないじゃん

だけど、勝手に逃げ出しといて
のこのこ顔向けできないし…

あぁ〜もう!
私のバカ!

何か、妙ちゃんたちにも合わせる顔がないよ
あんなに協力してくれたのに…

せめて、気持ちだけでも…

無理だよ
そんなのできない
でもやらなきゃ二人に失礼だよねっ

玉砕覚悟で伝えよう
それは明日でもいいよね

そういう考えに至り
周囲も真っ暗になっていい加減家に帰ろうとしたときだった

「しぐれちゃん!」

声の主は先ほど逃げてきた人で、
そして、今一番会いたくない人だった

「神威、くん…」
「どうしたの急に?」
「別になんでもない、よ」

そういって笑ってみせた
ちゃんと笑えていたかどうかはわからないけど

「…ばーか」

突然の発言にきょとんとし
一瞬理解できなかった

そしてさらに次の瞬間に不可解な事態に見舞われた

「ちょっ、なにを…」
「もしかしなくてもさ、変な勘違いさせちゃったよね」

耳元で聞こえる彼の声はどこか悲しみを帯びていて
雪乃は何を言えばいいのかわからなくなってしまった

「勝手で悪いけどさ、もう少しこのままでいてもいいかな」

道路の真ん中で抱き合っているというのは恥ずかしいことでもあるのだが
今のしぐれにそんな考えは浮かんでこなかった

「俺、よくわからないんだ。君に会う前はいろいろ遊んでたんだけどね。
だけど、今はしぐれちゃんだけいればいい」

予期せぬ発言にますます戸惑ってしまう

「しぐれちゃんがよければでいい。友達からだってかまわないから、俺と付き合ってくれる?」

次々とおこることに頭がついていけず
すぐに返事を返すことができなかった

「え、あ、うん。」

反射的に言ってしまったけど
…よかったんだよね
神威は先ほどより幾分やわらかく笑った

しぐれは今置かれている状況に漸く理解し
頬を赤らめしばらく顔をうずめていた


君の温かさを知る
君のぬくもりが
一番好き



*end*

お題提供/確かに恋だった



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